ペットの病気・気になる症状

レッグペルテス病とは?

こんにちは

近ごろお腹回りに皮下脂肪がついたせいか、あまり寒さを感じない院長です。

少し前まで「あけましておめでとうございます」と言っていたのが、

もう1月も終盤に差し掛かってきています。

時の経つのは早いですね。

 

 

さて今年の当院の目標は、

『今できる医療行為のクオリティを上げ、全体のレベルアップをはかる』

とさせていただきました。

去年広げた医療の幅を、今年は深堀りしていきたいと思います。

今年も当院をよろしくお願い致します。

 

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レッグペルテス病とは、

原因不明で成長期の子犬の股関節が壊れてしまう病気です。

小型犬に多く、

去年手術した3頭とも、1歳までのトイ・プードルでした。

寝起きや散歩などの動き出しにビッコが見られるなどで連れてこられることが多く、

診察時に足を後ろに伸ばすと痛がります。

レントゲンで股関節(正確には大腿骨頭)の様子がおかしければこの病気の疑いが強く、

基本的には手術適応となってしまいます。

若いうちから手術で痛い目にあってしまうのはかわいそうですが、

手術しないとずっと痛いままなので、もっとかわいそうなのです。

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治療としては、小型犬の場合、

痛みの原因となっている股関節(大腿骨頭)を取ってしまう手術を行います。

関節をとってしまって大丈夫かとよく言われますが、

組織が関節の代わり(偽関節)になってくれるのでさほど問題にはなりません。

 

小型犬を飼い始めたオーナー様は後ろ脚のビッコには注意してください。

ほっておくと股関節がグズグズになり、

術後のリハビリが長期化するケースも少なくありません。

当院で対応可能な手術 2015年まとめ

こんにちは

獣医師の中です。

 

去年、「整形外科は手術できない」といいました。

しかし、

オーナー様からのご要望が多かったため、

「このままじゃあかん」と考え、

座学・見学・実習を積み重ねたのち、

今年は、

できることとできないことを見極めながら、

整形外科手術を行ってきました。

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写真は、

整形外科手術セット

神経外科手術セット

眼科手術セット

プレート固定手術セット

ウサギ・ハムスター・フェレット・鳥類などの小動物の手術セット

です。

今年はだいぶ器具が増え、できることも増えました。

まだ、軟部外科A・Bセットに、創傷処理セット、歯科セット、エキゾ処置セットなど…

2軍も合わせると大変な数です。

手術器具とはサージカルステンレスを使用して

高圧滅菌に耐えれるように作られてますから、

「なんでこんな高いねん」

ってくらいごっつ高いです。

(ハサミ1本で自転車が買え、ひとセットでクルマが買えます)

同じ手術を数十件しないと元は取れません。

でも、手術がうまくいき元気になっていく患者を見るのと、

オーナー様からかけていただく「ありがとう」という言葉は、

スタッフ一同、とっても嬉しいので、

それをやりがいにして、

借金にまみれながらもみんな頑張って仕事をしています。

 

 

今年も、手術を含む医療全般において、

できなかったことをできるようにするために、

研鑽を積み重ねてまいりました。

手術の勉強をしたあと、実際に練習を繰り返し技術をモノにしていくのですが、

(スーパーで手羽先やもも肉などを買ってきて練習します)

血も出ないので、とても楽しいです。

例えるなら、高さ5センチの綱渡りです。

落ちてもなんら問題ありません

 

しかし、これが実際の患者に行う実戦の手術となると全く別物です。

がかかっているため、

例えるなら、高さ100mの高層ビルからの綱渡りです。

やってる行為自体は同じかも知れませんが、状況が全く違います。

 

手術前は、解剖学の本を見ながらイメトレ。

手術中は、変な汗が出っぱなし。

(1時間が5分くらいに感じます。

冷静かつリラックスが最良、

緊張して自分を見失うようではいけません)

手術後は、ドキドキしながら本当に手術がうまくいったのか…。

 

手術は、切って止めて縫っての基本工程の繰り返しです。

しかし結果がモロに出てくるので、

現実から逃げずに受け止めなければなりません。

(どうぶつのせいにしてはダメです)

 

 

必ず頭の中に置いているのは、

客観的に見た自分の未熟さ・甘さです。

患者に危険がないかどうか。

執刀させていただくことで結果に責任を持てるかどうか。

 

けして無謀に、難手術に手を出すことなく、

治ったからといって慢心することなく、

さらに良い結果を出すために改良を続けることを心がけています。

 

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これまでに当院で行った軟部外科以外の手術に関してですが、

  • 下腿骨骨折整復術
  • 膝蓋骨内方脱臼整復術
  • 前十字靭帯断裂の関節外法
  • 片側椎弓切除術(椎間板ヘルニア)
  • 大腿骨頭切除術(レッグペルテス症・円靭帯断裂を伴う股関節脱臼)

 

腫瘍外科手術・形成外科手術・歯科手術・腹部外科などは従来通り対応可能。

胸部外科・脳外科に関してはまだ技術も経験もなく対応不可となります。

眼科はできることとできないことがあります。

オーナー様のみ手術の立会いは可能です。

 

これからも、当院をよろしくお願いいたします。

少しコーヒーブレイクです

ネタなんて探せば山のようにあるのでしょうが、

最近はスタッフ教育や年末調整で多忙を極めております。

 

 

はい、言い訳です。

 

 

今回は、病気のことを書くのはやめときます。

来月は、きちんと病気(整形外科を予定)のことを書こうと思っていますので…。

(まずはオーナー様の許可を得なければ…)

医療関係のことをもっと書かないと、

グーグルさんに、「ここはトリミングサロンだ」と誤認識されてしまうらしいです。

今後は、もっと手術のこととか入院のこととかも載せていくことにします。

 

 

ありがたいことに、当院のブログを一から読んでくれている方がたまにいらっしゃいます。

はじめに書き出したのは、開業以前の2013年11月くらいでしょうか?

もちろん、スタッフは僕以外いなかったので、僕がずっと書いていました。

今では、優秀なスタッフと交代し、僕はコラム・スタッフはブログを担当し、

だいたい月2のペースで更新してくれています。

 

 

昔のブログを振り返ってみると、

開業以前なので、

「こう考えて開業計画をした」

「こういったことがしたい」

など、

自分の考えを積極的に伝える内容が多かったと思います。

ご興味がおありでしたら、一度読んでみてください。

 

 

現実を知ってしまった今となっては、

過去の情熱を維持するのは難しいですが(苦笑)

イデア:理念という病院名とともに、

枝葉はぶれようが、幹はぶれずにこれからもやっていこうと思います。

麻酔は恐い?

こんにちは

月一回のコラム更新までおろそかになりがちな院長です。

最近の毎週の楽しみは、休日にマッサージ屋さんにいくことです。

・・・って誰が興味あるねん!

 

 

 

さて、診察時によく見られるのが、

麻酔という言葉に敏感なオーナー様のリアクションです。

麻酔かけてこの子大丈夫ですかね・・・?

もちろん100%大丈夫というわけではありません。

かける側である僕らでもめちゃくちゃ怖いときはあります。

しかし、それでも麻酔をかけることが日常的に医療の現場で行われているのは、

メリットがデメリットを大きく上回るからでしょう。

 

麻酔とは、

きちんと全身の状態を把握できていれば、

それほど怖いものではありません。

麻酔をかける前に検査をおすすめするのはそのためです。

 

当院では、

ASA分類という

全身状態と麻酔のリスクを関連させた分類表を用い、

リスクがどれだけあるかを把握した上でご説明させていただきます。

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人の歯科医療では、

歯科恐怖症

ということばがあるそうです。

白衣恐怖症

ということばもあります。

「自分が病気である」ことを理解している人間でさえ、

病院とは怖いところです。

その大きな理由のひとつが、

痛いことイヤなことをされるからではないでしょうか。

 

自分が病気である

こともわからない。

つまり

病院に行く

という意味がわかっていないどうぶつにとって、

麻酔なしでの処置はどれだけストレスになるか想像もつきません。

 

ご自身に置き換えてみてください。

痛いことイヤなことは、

アレ?寝ている間に終わってた!

が理想ではないですか?

 

僕のよくいくマッサージ屋さんでこうなったときはショックですけどね(笑)

「縫合糸」反応性肉芽腫とは?

診療時間の変更と、

午後診療の待ち時間によって、

みなさまには大変ご迷惑をおかけしております。

 

まだ、19時までとご存知ない方が時間外に来院されることがあります。

大変申し訳ありません。

 

本来であれば、

時間外の対応は22時までは3000円、22時〜翌朝6時は5000円

追加でいただいているのですが、

9月いっぱいまでは、

診療時間の変更を知らずに来院された方に限り、

責任をとって通常通り対応させていただきます。

 

よろしくお願い致します。

 

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シルバーウィークは、通常通り祝日扱いとなり、午前診療のみとなります。

 

「どっか行かないの?あ、ペットホテルや仕事で行けないのか。大変ねぇ」

とよく言われますが、

人混みが嫌いなので、連休中に遠くに行きたいとも思わないんですよ(笑)

(家族は行きたいかもしれないので、すいません…)

公園行ったり家で寝たりしてのんびりするほうが好きですね。

 

さて、開院以来、当院では

縫合糸反応性とみられる炎症反応をよく診ております。

感染なく体の一部が腫れ上がり、

「なんじゃこりゃ」と手術して調べてみると腫れの中から絹糸が見つかったり…。

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ミニチュアダックスは、

体内に残った糸による異物反応が特に強く出ると言われているので注意が必要です。

 

もし縫合糸反応性の肉芽腫や脂肪織炎が疑われた場合、

再度麻酔をかけ原因となっている糸を摘出し、

ステロイドか高価な免疫抑制剤を飲まないといけなくなります。

結局、数倍のお金がかかってしまいますし、

何よりどうぶつの健康を大きく損なってしまいます。

 

当院では、

たとえば避妊去勢手術など、ある臓器を摘出する手術で、

3mm径までの太い血管を切らないといけないときには

「超音波メス」という血管シーラーを使用して、

お腹の中に糸を残さないように気をつけています。

 

皮膚の下を縫ったり、3mm径以上の血管などを縛る際など、

どうしても体内に糸を残さないといけない場合には、

「PDS」という、いずれ溶ける糸を使用しています。

 

体の外を縫う際には、創面がくっつけば取ってしまうので、

「ナイロン糸」という、異物反応が起こりにくく、かつ強度のある

溶けない糸を使用しています。

 

料理店などに例えれば、

圧力釜など、料理の質を上げる機械を導入したり、

よく切れる包丁など、

使う道具にこだわるということ。

これは我々も同じ職人として当然すべきことだと考えています。

 

安かろう悪かろうが全てに言えることではないですが、

値段で手術する病院を決める方が少なからずいらっしゃるのは事実。

 

し か し

 

びっくりするくらい安い手術が本当にどうぶつにとって良いことなのか、

再度考える必要があるかもしれません。

(ちなみに絹糸は、PDSに比べ1/100くらい安いです)