こんにちは!獣医師の足立です。
いつのまにか寒いと思う日がなくなりましたねー。
イデアの新人さんがだんだん仕事に慣れてきました。
彼女たちの笑顔は、私にはもう出せないものがあって
毎日癒されつつ、初診を思い出させてくれます。
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脱毛症XやアロぺシアX、ポメ禿げ
という病気を聞いたことがありますか?
最近では、毛周期停止と言われています。
今回はその脱毛症Xについて説明します!
【 どんな病気?原因はなに? 】
毛は常に成長期→退行期→休止期と
成長して伸びて抜ける、というサイクルを繰り返しています。
脱毛症Xは、そのサイクルの途中で毛の成長が停止してしまう病気です。
原因は今のところはっきりと分かっていません。
特定の犬種で起こることから
先天的な要因があるのではないかと言われています。
【 起こりやすい犬種は? 】
ポメラニアン
トイプードル
チワワ
パピヨン
サモエド
アラスカン・マラミュート
シベリアン・ハスキー
チャウ・チャウ
キースホーランド
ポメはげとも言われていますが、
ポメラニアンだけでなく、他の犬種でも起こります。
【 どんな症状が出るの? 】
頭と四肢の毛を残して、体の他の毛がなくなります。
(https://magazine.vdt.co.jp/954/ どうぶつの皮膚科耳科アレルギー科HPより)
症状の順番としては
1 毛並みが悪くなる。パサパサした毛になる。
2 首、おしり、ももの毛が左右対称に薄くなる。
3 太い毛がなくなり、細い毛だけになる。
4 頭と四肢以外、大部分の毛が薄くなる。
5 細い毛も抜けてツルツルになる。皮膚が黒くなる。
基本的にかゆみはありません。
毛がない分、外的刺激に弱くなり
二次的にかゆみや赤みがでてくる場合があります。
健康状態や命には関わりません。
オスメス関係なく発症し、発症年齢も1-10歳とバラバラです。
( https://inu-neko-byoki.com/blog09/923 四季の森どうぶつクリニックHPより)
【 どうやって診断するの? 】
原因が分からない病気なので、基本的には除外診断です。
症状が似ている他の病気がないか調べて、なければ診断していきます。
似たような症状の病気とは、
副腎、甲状腺、生殖器などのホルモンの病気です。
【 どうやって治療するの? 】
原因が分からないため、100%治るという治療はありません。
ただ、この病気はいろいろな方面からアプローチが可能です。
1 避妊、去勢手術
一時的に生えるが、数年後に再燃する可能性あり。
2 トリロスタン
副腎ホルモンを抑えるお薬
副作用がでる可能性があるため、低用量からスタート
血液検査などのモニターをしながら投与量を増やしていく。
70-80%で効果があると言われている。
薬を止めると、再燃する。
(https://www.kyoritsuseiyaku.co.jp/products/detail/product_20005.html
共立製薬株式会社HPより)
3 メラトニン
睡眠をコントロールするホルモン剤。
毛の成長を促す効果もあると言われています。
副作用はあまりなく、
最初に始めやすいお薬です。
約40%の子で効果があると言われています。
4 サプリメント
20-40%で効果があると言われています。
1種類のサプリが効かなくても、他のサプリで効果が出ることがあります。
アンチノール
必須脂肪酸のサプリメント
(https://vetzpetz.jp/products/dog ベッツペッツHPより)
アルギチャンプ
海藻由来成分の入ったサプリメント
(http://algishop.com/algichamp/ アルギショップHPより)
トリカS
パントエア糖脂質と呼ばれる
育毛促進を目的とした成分入りのサプリメント
5 栄養剤
L-システイン
皮膚の代謝を促すおくすりです。
ビタミンE
血行促進、新陳代謝促進効果があるおくすりです。
上記の薬を組み合わせて治療していきます。
治療の効果を見るには、2-3ヶ月後に判断していきます。
効果が出ても、続けるにつれ効果が薄れてくることがあります。
健康状態には影響しませんが、
やはり愛犬が禿げていると気になりますよね。
病気、治療について何かご不安があればご相談ください!