ペットの病気・気になる症状

頭をよく振るのはなぜ?

 

 

皆さんこんにちは!

獣医師の中垣です!

いきなりですが、皆さんの趣味はなんでしょうか?

 

私はキャンプに行ったり、

ギターを弾きながら大声で歌ったり、

たくさん趣味はあるのですが、

これだけは外せない!皆さんにもお勧めしたい!

そんな趣味があります(笑)

 

それは、、、サウナに行くことです!

ここ一年サウナにどハマりしていて、今でも週4で行っています。

 

周りの人からは、頭がおかしいと言われますが

これほど素晴らしいものはないと私は思っています。

 

サウナに行くことで、

心も体もすっきりし、

睡眠の質や普段の生産性も格段に上がるんです!

最近では免疫力も上がると言われているくらいです。

良いことづくしです(笑)

 

皆さんにもサウナの良さを伝えたいので、

もし興味がある方は私に聞いてみてください。

熱弁します!

 

                                          

 

突然ですが、

皆さんはわんちゃんが動物病院を受診する理由で

上位を占める病気は何かご存知でしょうか?

 

実は、

1番多いのが皮膚のトラブルで、

2番目がのトラブルです。

 

皮膚と耳を合わせると、

動物病院の40〜45%の来院理由を占めるとも言われています。

私も実際に診察をしていて、

皮膚と耳のトラブルがかなり多いことを実感しています。

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それだけ多いということは、

これらのトラブルで苦しんでいるわんちゃんや

悩まれている飼い主様も多いことと思います。

 

そこで今回は、1番目に多い皮膚疾患、、、ではなく

(皮膚のトラブルについてはまた後々のブログで書かせて頂きます)

2番目に多いと言われる

耳の疾患」について紹介させて頂きます。

 

耳の疾患の中でも、比較的多いのが「外耳炎」です。

外耳炎、皆さまのわんちゃんも

一度は経験したことがあるんじゃないでしょうか。

中には、何度も繰り返し再発してしまい

頭を悩まされている方もいらっしゃると思います。

 

そんな皆さまに、

外耳炎に対する理解をより深めていただくため

外耳炎について

下の4つのテーマに分けてご説明したいと思います。

 

①どんな症状?

②なぜなるの?

③細菌・マラセチア(カビ)がいるってどういうこと?

④自宅でのケアは必要?

                                       

 

①どんな症状?

 

外耳とは、下の写真の通り、

耳孔(耳の穴)から鼓膜までの部分を言います。

 

私たち人間は、

耳孔から鼓膜までまっすぐ耳道が伸びていきますが、

わんちゃんの場合は一度垂直方向に走り、

そこでL字型にカーブして鼓膜へと向かいます。

 

このL字型の部分に起きる炎症、それが外耳炎です。

 

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外耳炎が起きると耳が赤く腫れたり

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ベタベタした耳垢が出てきたりします。

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このような状態はわんちゃんからすると、

見た目通りかなり痒かったり、痛かったりします。

 

そのため、

後ろ足で耳を掻こうとしたり

床になすりつけたり

しきりに頭を振ったりする行動が目立ってきます。

頭を振りすぎて首を痛めてしまう子がいるくらいです。

 

このような行動を目にした場合、

耳をぺらっとめくって見てみてください。

(痛みによって触られることを嫌がる子もいるので無理は禁物です)

 

もしかすると、

写真のように耳が真っ赤になっているかも知れません。

その場合は、外耳炎の可能性があるので

すぐに動物病院を受診することをお勧めします。

 

②なぜなるの?

 

ではなぜ外耳炎は起きてしまうのでしょうか。

 

それは大きく分けて4つの原因があると言われています。

(他にもありますが代表的なものを紹介します)

 

1. ミミダニ

耳に寄生するダニのことです。

ミミダニの寄生によって強い痒みを伴います。

これが耳の中にいることを想像しただけで、痒くなってきますよね。

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2.異物

草や砂、水などが

耳の中に入ってしまうことで、外耳炎を引き起こします。

 

3.アレルギー

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーのことです。

元々これらの基礎疾患を持っていると、

そもそも皮膚に炎症が起こりやすいので、

外耳炎を引き起こしてしまいます。

 

4.脂漏症

皮脂量が多く、

皮膚がベタベタになってしまう病気です。

脂漏症のわんちゃんは

高確率で外耳炎を発症し、耳垢も大量に発生してしまいます。

 

 

紹介した4つのうち、

ミミダニと異物に関しては

これらを取り除いてあげることで

外耳炎は完治することが多いです。

 

しかし、アレルギーや脂漏症といった

元々ある体質が原因となっている場合

これらをうまく管理して上げないと、

外耳炎を繰り返す原因になってしまうのです。

 

③細菌やマラセチア(カビ)がいるってどういうこと?

 

皆さんがわんちゃんの耳のトラブルで、

動物病院を受診された時に

耳にバイ菌がいますね!

耳にカビがわいています!

といった言葉をよく耳にすると思います。

 

動物病院で治療を受けて

バイ菌やカビがいなくなったのに、

どうしてまた外耳炎になってしまうんだろう?

 

そう思われている方も

たくさんいらっしゃると思います。

 

実はこれらのバイ菌やカビは、

外からやってきたのではなく

皮膚の常在菌、つまりもともと皮膚に存在するものです。

 

普段は皮膚のバリア機能によって、

常在菌は絶妙なバランスに保たれています。

 

しかし、炎症が起こったり、

それにより皮膚のバリア機能が落ちると

今まで保たれていた絶妙なバランスが一気に崩れ、

常在菌が増殖してしまい悪さをするのです。

 

つまりここで大切なのは、

バイ菌やカビがいることで

外耳炎になってしまうのではなく

外耳炎が起きた結果、

バイ菌やカビが増殖し、

より外耳炎を悪化させているということです。

 

簡単に言えば、

バイ菌やカビが外耳炎の原因ではないということですね。

なので、それらをやっつけても

外耳炎が起きる根本的な解決にはなっていないのです。

 

大事なのは、②のテーマでお伝えした通り、

アレルギーや脂漏症といった元々持っている

体質的なところを管理してあげることです。

 

そうすることで、

できるだけ外耳炎を繰り返さないようにしてあげましょう。

 

④自宅でのケアは必要?

 

結論から申し上げますと、

自宅でのケアは必要ありません。

 

それはなぜか。

健康なわんちゃんの耳は、

自分で自分の耳を綺麗にする

自浄作用」があるからです。

 

そのため、

耳垢も自然と外に出ていくようようになっています。

 

よく、人間と同じように

「綿棒を使って耳掃除をしていいのか」

という質問を頂きます。

 

答えはノーです。

 

綿棒を使うと、

耳に過度な刺激を与えてしまったり

耳垢をかえって耳道の奥に押し込んでしまい

外耳炎を起こす原因になってしまう可能性があるからです。

 

目に見えている耳垢を

綿棒で取りたくなってしまうこともあるかと思いますが、

そこはグッと堪えてください。

 

ところで、

先ほど自宅でのケアは必要ないと言いましたが、

もちろん必要な子もいます。

それは以下のような子たちです。

 

・外耳に異物や寄生虫が存在している

・アトピー性皮膚炎や食物アレルギーにともなって炎症が頻発している

・脂漏症にともなった外耳の過剰な皮脂汚れ

・短頭種などもともと耳道が狭く耳垢の排出がうまくできない子たち

 

このような場合、

自宅でのケアが必要となる時があります。

 

もちろん綿棒を使用するのではなく、

専用の耳の洗浄剤を使います。

 

ただ、耳の洗浄剤を使用する場合、

必ず外耳と鼓膜の状況を確認する必要があり、

またそもそも洗浄の必要性があるのか

ということも判断しなければなりません。

 

そのため、

事前に獣医師に確認していただくことを

お勧めいたします。

 

 

ここまで外耳炎について説明してきましたが、

他にも、垂れ耳であったり、

耳毛が多かったり、今のような高温多湿な気候によって

外耳炎になりやすい子たちもたくさんいます。

 

もし、ご自宅のわんちゃんの耳のことで

気になることがありましたら

お気軽に当院のスタッフに尋ねていただければと思います。

 

では、また来月のブログを楽しみにお待ちください!