ペットの病気・気になる症状

【 ひふ 】 中も外も症状が出る病気

こんにちは!

獣医師の足立です。

 

みなさん楽しいクリスマスは過ごせましたか?

我が家では子供に初めてサンタが来ました!

アンパンマンのおもちゃの外箱を見ただけで喜んでいました♪

アンパンマンってすごいですね!

 

 

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さて、今日はあまり聞きなれない

皮膚だけじゃない皮膚の病気

全身性エリテマトーデス ( SLE )

という病気を説明していきます!

 

 

 

【SLEって?】

犬でまれに発生する免疫介在性疾患

猫では極めてまれ。

 

自身の免疫物質が自分自身を攻撃してしまう病気。

なので、攻撃する場所により症状が様々

 

 

 

【 原因は? 】

遺伝的要因、環境要因、薬剤、感染などが引き金となる。

紫外線が悪化原因となると考えられている。

 

結局、原因やきっかけは分からないことがほとんど。

 

 

 

【 症状は? 】

複数の臓器が同時に侵され、様々な症状を示す

 

発熱

リンパ節腫大

活動性の低下

食欲不振

体重減少

跛行

皮膚病変など

 

 

 

【 診断は? 】

診断はさまざまな検査を行い、総合的に判断する。

以下の項目中、3個以上を満たした場合SLEと診断する。

 

抗核抗体(ANA)陽性

血液を外部の検査機関に送り、確認。

 

皮膚病変

全身に症状出うる。

特に、眼周囲、鼻、耳に症状出やすい。

 

口腔内潰瘍

口内炎ができる。

口痛の症状や、ごはんを食べにくいなどの症状が出ることも。

視診で確認。

 

非びらん性多発性関節炎

四肢のびっこ

症状は波があり、四肢順番に症状出ることも。

関節部を気にして舐めることもある。

診断は関節穿刺を行い、確認する。

 

腎疾患

血液中の腎関連項目を確認。

尿蛋白の存在を確認する。

 

溶血性貧血 ± 血小板減少症

歯茎の蒼白、血便、皮膚に紫斑が出てくることも。

血液検査で確認。

 

●  白血球減少症

敗血症になることも。

血液検査で確認。

 

多発性筋炎または心筋炎

筋硬直による運動性低下や

心筋炎では心不全症状も。

症状や血液検査などで診断。

 

漿膜炎

エコー、レントゲンなどで

腹水、胸水、心嚢水確認。

 

神経疾患

 

抗リン脂質抗体陽性

 

 

 

【 治療は? 】

主体は、免疫抑制療法

ステロイド剤

他、免疫用抑制剤

などを使っていく。

 

初期はステロイドを高容量で使用し、

症状が改善あれば少しずつ容量を落としていく。

 

長期的には、副作用が少ないステロイド以外の

免疫抑制剤のみで維持できるよう目指す。

 

 

 

【 SLEのポイントは? 】

SLEのややこしい所は、一気に症状が出ない所です。

 

最初は片眼の上が腫れてきただけ。様子を見ていると、

眼の腫れはなくなったけど、前足びっこし出したり、

それが治ったと思ったら、

今度は後ろ足びっこして、口が痛そうにもし出して、

今度はいよいよ元気もなくなってきた!

 

こんな感じで、最初はちょっとした症状でも

次から次へと新しい症状が出てくることが多いです。

なので、最初からこの病気を疑うのは難しいことがほとんどです。

 

 

 

SLEは命に関わる病気です。

もし疑いがあるのであれば

診断まで時間をかけていられないので、

ひとつずつの検査を順番にやるのではなく、

一気に検査を行って最短で診断する必要があります。