ペットの病気・気になる症状

外耳炎について

いつもながら突然ですが、

愛犬が首を振ったり、しきりに後ろ足で耳の後ろ側をかいたりしていませんか?

梅雨くらいから耳が痒くなる病気、「外耳炎」で通院するワンちゃんが増えています。

 

外耳炎でよくみられるのが、

耳の穴から奥の「耳道」ばい菌カビが繁殖してかゆくなる場合。

原因として考えられるのは、

 

  1. 耳掃除ができていない
  2. 垂れ耳
  3. 高温多湿
  4. アレルギー持ち
  5. 脂っぽい体質などです。

 

 

耳垢はばい菌やカビの栄養隠れ家になりますので、

湿度が高く暑い時期はこまめに耳掃除をして清潔に保たなければいけません。

しかし、まちがった耳掃除のやり方によって、

逆に耳道を傷つけてしまう場合もありますので注意が必要です。

 

 

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犬の外耳は人間とは違い、アルファベットの「L」の形をしているため、

耳道に関しては、綿棒ではなく洗浄液で掃除してもらうようにお願いしています。

やり方がわからない方は耳掃除だけでもご指導させていただきますので、

受付まで遠慮なくおっしゃってください。

 

ひどくなると耳道の横を通っている顔面神経がやられたり、

首が傾いたままになったりすることもあります。

炎症が長引くと肥厚したり腫瘍化したりして耳の穴がなくなることもあり、

その場合は耳掃除ができなくなるので手術しないといけなくなることもあります。

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めんどくさいと思わずに、

「治療」になってしまう前に正しいやり方で耳掃除をしてあげてください。

熱中症にご注意を!

日中、暑いですね…!

ヒト以外のどうぶつにとっても辛い季節です。

特に枚方は灼熱で有名ですので、

ご自宅のペットにも暑さ対策をお願いします!

(詳しい対策方法はネットや本などにたくさん書いてあります!)

 

 

ちなみに、イヌの平均体温は何℃くらいかご存知でしょうか?

 

 

体格などにもよりますが、だいたい38℃台です。

(動物病院にくると恐怖ですこし上がります)

ヒトよりも2℃ほど高いです。

いまの時期、万が一の際にはすぐに体温を測れるように

体温計を常備しておくことをオススメします。

 

 

イヌなどの汗をかかないどうぶつは、

体温を下げる能力が低く

パンティング(ハッハッハッとする呼吸)で体温を下げています。

特に短頭種(パグなど鼻の短い犬種)ではパンティングにより肺に熱がこもりやすく、

熱中症になりやすいため注意が必要です。

短頭種にクーラーは必要不可欠です。

 

 

もし嘔吐や意識障害などの症状が出てしまったら、

まずはどうぶつの体を冷やすこと。

そのあとは動物病院に連絡し、点滴などの処置を行います。

 

 

深刻な熱中症であれば、体温を調節できなくなっています。

つまり、急激に体を冷やしすぎるのも良くないので注意してください。

39℃前半まで下がれば、

あとはクーラーのついた涼しい部屋などで

自然に体温を下げるのが望ましいと思います。

 

 

病態としては、

脱水・体温上昇→循環不全→多臓器不全→死亡(!)となり、

なんとか早期発見して多臓器不全まで至らないようにすることが大切です。

もっとも、一番は「予防」です!!

 

 

ヒトからしたら暑さの引く夕方であっても、

日中の太陽熱を溜め込んだ地面は岩盤浴状態になっていることがありますので、

散歩前には地面の状態のチェックをすることも大事ですね!

最近「ヘルニア」をよく診(み)ます…

「うちの子ヘルニアやねん〜」と一言でいうと、

腰の病気のイメージが強いと思いますが、

これは人間では、腰のヘルニアが多いからでしょう。

本来「ヘルニア」のことばの定義は

『体内の臓器などが、本来あるべき場所から「脱出・突出」した 状態』

ですので、

「ヘルニア」には、

飛び出したもの場所によってたくさんの種類があります。

 

腰の場合は、

「椎間板」という骨と骨とのクッションとなる物質が

「脱出・突出」して神経を圧迫するので、

痛みがでたり、麻痺がでたりします。

いわゆるダックスなどに多い「椎間板ヘルニア」ですね。

(僕自身も腰椎の椎間板ヘルニアもちです)

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「会陰ヘルニア」去勢していないオス犬でよく診ます。

会陰とは、骨盤部の出口、つまりお尻のことです。

ポコっとしたふくらみが肛門横にみられる場合は要注意です。

脱出するものは、膀胱前立腺など。

未去勢オスに多いことから、

男性ホルモンが影響しているやら、

未去勢オスは高齢になると前立腺肥大をおこすので、

直腸を圧迫し、排便時にりきむ(排便困難になる)ことから

ヘルニアを起こすやら諸説あります。

犬種ではコーギーなど断尾している犬に多く、

断尾すると、しっぽを振れないため、

使わなくなったお尻周りの筋肉が小さく萎縮してしまい、

しぼんだ筋肉の隙間からヘルニアを起こしやすくなるのではと考えられています。

コーギーの男の子にはぜひ去勢手術を!

 

ほかにも様々なヘルニアがありますが、

最近よく診る手術が必要なヘルニアは上記2つです。

僕の腰のヘルニアも、誰か治してくれないものか…。笑

猫にシャンプーは必要であるか

当院のトリミングサロンは、

猫のシャンプーやカットも引き受けています。

 

しかし、基本的には、

トリミングは犬向けのサービスと位置づけています。

 

それには、理由があります。

 

ひとつに、

犬には匂いや皮膚病の問題があり、

定期的なシャンプーが必要なのは周知の事実ですが、

猫はシャンプー不足による皮膚病にならないことが挙げられます。

(原発性の皮膚の細菌感染症はきわめて少ないといわれています)

 

また、

猫は水に濡れることを嫌う性質があります。

中には奇声をあげて発狂する子もいます。

(当院のわびすけもこの世の終わりかというような奇声をあげます)

IMG_1147個体によっては水が大丈夫な子もいますので、

ご自宅で一度シャンプーを試してみて、

水をそこまで嫌がらないのであれば、

年1〜2回の自宅でのシャンプーやトリミングで

たまに洗ってあげることは有用かもしれません。

 

当院では、そういった猫のストレスとスタッフの安全の両方を考慮し、

基本的に『鎮静下』での猫のトリミングを請け負っております。

もちろん鎮静剤を使用するリスクがありますので、

可能であれば、愛猫に対しては日々のブラッシングと

おしぼりでの汚れのふき取りなどで

対応していただきたいと考えています。

 

長毛種などで毛玉ができて皮膚の健康を害してしまう場合、

水で洗い流さないシャンプー剤で汚れをふきとり、

医療用カットをする

水を使用しないコースもあります。

 

皮膚のケアひとつとっても、

『猫は小さな犬ではない』(獣医療でよくいわれる格言)

と、いうことですね。

ほうっておくと怖い歯周病

近頃、暖かくなって、

ワクチンやフィラリアの予防、健康診断を依頼されることが多くなってきました。

 

3歳以上の犬の約8割がかかっているといわれている「歯周病

実際、身体検査の際によく目にします。

この状態は口が臭いだけで済む話ではなく、

放置すると、心臓病など全身状態に悪影響を及ぼすこともあります。

 

写真1〜3枚目はの歯周病の症例です。

4枚目は、5枚目はうさぎです。

こうなってしまうと、食欲などにも影響が出てしまいます。

人間に置き換えると

口の中が口内炎だらけ虫歯だらけの状況をイメージしていただければと思います。

楽しみなはずの食事が、痛みで辛くなると、可哀想ですよね。

 

歯周病治療は、全身麻酔下で歯石を取り、歯茎のスキ間をきれいに掃除し、歯を研磨します。

たまに無麻酔でしてくれと言われることもありますが、

健康な部分まで傷つけたり、最悪、顎の骨折などを引き起こす可能性もあり、大変危険です。

それに外観は良くなっても歯茎のスキ間や歯の裏側は汚いままなので、歯周病は良くなりません。

押さえつけられて怖くて痛いことをされるどうぶつもかわいそうです。

 

歯は、歯磨きで予防することも大切です。

どうぶつの歯のことでお困りであればお気軽にご相談ください。

 

実は歯周病のコラムを書くのは2回目ですが、

大事なことなので2回言いました。

 

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