ペットの病気・気になる症状

麻酔は恐い?

こんにちは

月一回のコラム更新までおろそかになりがちな院長です。

最近の毎週の楽しみは、休日にマッサージ屋さんにいくことです。

・・・って誰が興味あるねん!

 

 

 

さて、診察時によく見られるのが、

麻酔という言葉に敏感なオーナー様のリアクションです。

麻酔かけてこの子大丈夫ですかね・・・?

もちろん100%大丈夫というわけではありません。

かける側である僕らでもめちゃくちゃ怖いときはあります。

しかし、それでも麻酔をかけることが日常的に医療の現場で行われているのは、

メリットがデメリットを大きく上回るからでしょう。

 

麻酔とは、

きちんと全身の状態を把握できていれば、

それほど怖いものではありません。

麻酔をかける前に検査をおすすめするのはそのためです。

 

当院では、

ASA分類という

全身状態と麻酔のリスクを関連させた分類表を用い、

リスクがどれだけあるかを把握した上でご説明させていただきます。

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人の歯科医療では、

歯科恐怖症

ということばがあるそうです。

白衣恐怖症

ということばもあります。

「自分が病気である」ことを理解している人間でさえ、

病院とは怖いところです。

その大きな理由のひとつが、

痛いことイヤなことをされるからではないでしょうか。

 

自分が病気である

こともわからない。

つまり

病院に行く

という意味がわかっていないどうぶつにとって、

麻酔なしでの処置はどれだけストレスになるか想像もつきません。

 

ご自身に置き換えてみてください。

痛いことイヤなことは、

アレ?寝ている間に終わってた!

が理想ではないですか?

 

僕のよくいくマッサージ屋さんでこうなったときはショックですけどね(笑)

「縫合糸」反応性肉芽腫とは?

診療時間の変更と、

午後診療の待ち時間によって、

みなさまには大変ご迷惑をおかけしております。

 

まだ、19時までとご存知ない方が時間外に来院されることがあります。

大変申し訳ありません。

 

本来であれば、

時間外の対応は22時までは3000円、22時〜翌朝6時は5000円

追加でいただいているのですが、

9月いっぱいまでは、

診療時間の変更を知らずに来院された方に限り、

責任をとって通常通り対応させていただきます。

 

よろしくお願い致します。

 

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シルバーウィークは、通常通り祝日扱いとなり、午前診療のみとなります。

 

「どっか行かないの?あ、ペットホテルや仕事で行けないのか。大変ねぇ」

とよく言われますが、

人混みが嫌いなので、連休中に遠くに行きたいとも思わないんですよ(笑)

(家族は行きたいかもしれないので、すいません…)

公園行ったり家で寝たりしてのんびりするほうが好きですね。

 

さて、開院以来、当院では

縫合糸反応性とみられる炎症反応をよく診ております。

感染なく体の一部が腫れ上がり、

「なんじゃこりゃ」と手術して調べてみると腫れの中から絹糸が見つかったり…。

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ミニチュアダックスは、

体内に残った糸による異物反応が特に強く出ると言われているので注意が必要です。

 

もし縫合糸反応性の肉芽腫や脂肪織炎が疑われた場合、

再度麻酔をかけ原因となっている糸を摘出し、

ステロイドか高価な免疫抑制剤を飲まないといけなくなります。

結局、数倍のお金がかかってしまいますし、

何よりどうぶつの健康を大きく損なってしまいます。

 

当院では、

たとえば避妊去勢手術など、ある臓器を摘出する手術で、

3mm径までの太い血管を切らないといけないときには

「超音波メス」という血管シーラーを使用して、

お腹の中に糸を残さないように気をつけています。

 

皮膚の下を縫ったり、3mm径以上の血管などを縛る際など、

どうしても体内に糸を残さないといけない場合には、

「PDS」という、いずれ溶ける糸を使用しています。

 

体の外を縫う際には、創面がくっつけば取ってしまうので、

「ナイロン糸」という、異物反応が起こりにくく、かつ強度のある

溶けない糸を使用しています。

 

料理店などに例えれば、

圧力釜など、料理の質を上げる機械を導入したり、

よく切れる包丁など、

使う道具にこだわるということ。

これは我々も同じ職人として当然すべきことだと考えています。

 

安かろう悪かろうが全てに言えることではないですが、

値段で手術する病院を決める方が少なからずいらっしゃるのは事実。

 

し か し

 

びっくりするくらい安い手術が本当にどうぶつにとって良いことなのか、

再度考える必要があるかもしれません。

(ちなみに絹糸は、PDSに比べ1/100くらい安いです)

外耳炎について

いつもながら突然ですが、

愛犬が首を振ったり、しきりに後ろ足で耳の後ろ側をかいたりしていませんか?

梅雨くらいから耳が痒くなる病気、「外耳炎」で通院するワンちゃんが増えています。

 

外耳炎でよくみられるのが、

耳の穴から奥の「耳道」ばい菌カビが繁殖してかゆくなる場合。

原因として考えられるのは、

 

  1. 耳掃除ができていない
  2. 垂れ耳
  3. 高温多湿
  4. アレルギー持ち
  5. 脂っぽい体質などです。

 

 

耳垢はばい菌やカビの栄養隠れ家になりますので、

湿度が高く暑い時期はこまめに耳掃除をして清潔に保たなければいけません。

しかし、まちがった耳掃除のやり方によって、

逆に耳道を傷つけてしまう場合もありますので注意が必要です。

 

 

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犬の外耳は人間とは違い、アルファベットの「L」の形をしているため、

耳道に関しては、綿棒ではなく洗浄液で掃除してもらうようにお願いしています。

やり方がわからない方は耳掃除だけでもご指導させていただきますので、

受付まで遠慮なくおっしゃってください。

 

ひどくなると耳道の横を通っている顔面神経がやられたり、

首が傾いたままになったりすることもあります。

炎症が長引くと肥厚したり腫瘍化したりして耳の穴がなくなることもあり、

その場合は耳掃除ができなくなるので手術しないといけなくなることもあります。

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めんどくさいと思わずに、

「治療」になってしまう前に正しいやり方で耳掃除をしてあげてください。

熱中症にご注意を!

日中、暑いですね…!

ヒト以外のどうぶつにとっても辛い季節です。

特に枚方は灼熱で有名ですので、

ご自宅のペットにも暑さ対策をお願いします!

(詳しい対策方法はネットや本などにたくさん書いてあります!)

 

 

ちなみに、イヌの平均体温は何℃くらいかご存知でしょうか?

 

 

体格などにもよりますが、だいたい38℃台です。

(動物病院にくると恐怖ですこし上がります)

ヒトよりも2℃ほど高いです。

いまの時期、万が一の際にはすぐに体温を測れるように

体温計を常備しておくことをオススメします。

 

 

イヌなどの汗をかかないどうぶつは、

体温を下げる能力が低く

パンティング(ハッハッハッとする呼吸)で体温を下げています。

特に短頭種(パグなど鼻の短い犬種)ではパンティングにより肺に熱がこもりやすく、

熱中症になりやすいため注意が必要です。

短頭種にクーラーは必要不可欠です。

 

 

もし嘔吐や意識障害などの症状が出てしまったら、

まずはどうぶつの体を冷やすこと。

そのあとは動物病院に連絡し、点滴などの処置を行います。

 

 

深刻な熱中症であれば、体温を調節できなくなっています。

つまり、急激に体を冷やしすぎるのも良くないので注意してください。

39℃前半まで下がれば、

あとはクーラーのついた涼しい部屋などで

自然に体温を下げるのが望ましいと思います。

 

 

病態としては、

脱水・体温上昇→循環不全→多臓器不全→死亡(!)となり、

なんとか早期発見して多臓器不全まで至らないようにすることが大切です。

もっとも、一番は「予防」です!!

 

 

ヒトからしたら暑さの引く夕方であっても、

日中の太陽熱を溜め込んだ地面は岩盤浴状態になっていることがありますので、

散歩前には地面の状態のチェックをすることも大事ですね!

最近「ヘルニア」をよく診(み)ます…

「うちの子ヘルニアやねん〜」と一言でいうと、

腰の病気のイメージが強いと思いますが、

これは人間では、腰のヘルニアが多いからでしょう。

本来「ヘルニア」のことばの定義は

『体内の臓器などが、本来あるべき場所から「脱出・突出」した 状態』

ですので、

「ヘルニア」には、

飛び出したもの場所によってたくさんの種類があります。

 

腰の場合は、

「椎間板」という骨と骨とのクッションとなる物質が

「脱出・突出」して神経を圧迫するので、

痛みがでたり、麻痺がでたりします。

いわゆるダックスなどに多い「椎間板ヘルニア」ですね。

(僕自身も腰椎の椎間板ヘルニアもちです)

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「会陰ヘルニア」去勢していないオス犬でよく診ます。

会陰とは、骨盤部の出口、つまりお尻のことです。

ポコっとしたふくらみが肛門横にみられる場合は要注意です。

脱出するものは、膀胱前立腺など。

未去勢オスに多いことから、

男性ホルモンが影響しているやら、

未去勢オスは高齢になると前立腺肥大をおこすので、

直腸を圧迫し、排便時にりきむ(排便困難になる)ことから

ヘルニアを起こすやら諸説あります。

犬種ではコーギーなど断尾している犬に多く、

断尾すると、しっぽを振れないため、

使わなくなったお尻周りの筋肉が小さく萎縮してしまい、

しぼんだ筋肉の隙間からヘルニアを起こしやすくなるのではと考えられています。

コーギーの男の子にはぜひ去勢手術を!

 

ほかにも様々なヘルニアがありますが、

最近よく診る手術が必要なヘルニアは上記2つです。

僕の腰のヘルニアも、誰か治してくれないものか…。笑