ペットの病気・気になる症状

猫にシャンプーは必要であるか

当院のトリミングサロンは、

猫のシャンプーやカットも引き受けています。

 

しかし、基本的には、

トリミングは犬向けのサービスと位置づけています。

 

それには、理由があります。

 

ひとつに、

犬には匂いや皮膚病の問題があり、

定期的なシャンプーが必要なのは周知の事実ですが、

猫はシャンプー不足による皮膚病にならないことが挙げられます。

(原発性の皮膚の細菌感染症はきわめて少ないといわれています)

 

また、

猫は水に濡れることを嫌う性質があります。

中には奇声をあげて発狂する子もいます。

(当院のわびすけもこの世の終わりかというような奇声をあげます)

IMG_1147個体によっては水が大丈夫な子もいますので、

ご自宅で一度シャンプーを試してみて、

水をそこまで嫌がらないのであれば、

年1〜2回の自宅でのシャンプーやトリミングで

たまに洗ってあげることは有用かもしれません。

 

当院では、そういった猫のストレスとスタッフの安全の両方を考慮し、

基本的に『鎮静下』での猫のトリミングを請け負っております。

もちろん鎮静剤を使用するリスクがありますので、

可能であれば、愛猫に対しては日々のブラッシングと

おしぼりでの汚れのふき取りなどで

対応していただきたいと考えています。

 

長毛種などで毛玉ができて皮膚の健康を害してしまう場合、

水で洗い流さないシャンプー剤で汚れをふきとり、

医療用カットをする

水を使用しないコースもあります。

 

皮膚のケアひとつとっても、

『猫は小さな犬ではない』(獣医療でよくいわれる格言)

と、いうことですね。

ほうっておくと怖い歯周病

近頃、暖かくなって、

ワクチンやフィラリアの予防、健康診断を依頼されることが多くなってきました。

 

3歳以上の犬の約8割がかかっているといわれている「歯周病

実際、身体検査の際によく目にします。

この状態は口が臭いだけで済む話ではなく、

放置すると、心臓病など全身状態に悪影響を及ぼすこともあります。

 

写真1〜3枚目はの歯周病の症例です。

4枚目は、5枚目はうさぎです。

こうなってしまうと、食欲などにも影響が出てしまいます。

人間に置き換えると

口の中が口内炎だらけ虫歯だらけの状況をイメージしていただければと思います。

楽しみなはずの食事が、痛みで辛くなると、可哀想ですよね。

 

歯周病治療は、全身麻酔下で歯石を取り、歯茎のスキ間をきれいに掃除し、歯を研磨します。

たまに無麻酔でしてくれと言われることもありますが、

健康な部分まで傷つけたり、最悪、顎の骨折などを引き起こす可能性もあり、大変危険です。

それに外観は良くなっても歯茎のスキ間や歯の裏側は汚いままなので、歯周病は良くなりません。

押さえつけられて怖くて痛いことをされるどうぶつもかわいそうです。

 

歯は、歯磨きで予防することも大切です。

どうぶつの歯のことでお困りであればお気軽にご相談ください。

 

実は歯周病のコラムを書くのは2回目ですが、

大事なことなので2回言いました。

 

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目が白くなる病気~白内障について~

昔は、獣医療において

眼科という分野はそれほど重要視されていない分野でした。

というよりも、

治療すべき病気としては認識されていなかったといえます。

 

理由は、大きくわけて2つあります。

動物は話せないので、視力低下がわかりにくいこと。

また、動物は人ほど視覚にたよって生きていないので、

不自由になることが比較的少ないためです。

 

しかし、盲目にまで至ると

ものにぶつかるようになったり

環境を怖がるようになったり

あまり動かなくなったり症状として現れます。

 

QOL(生活の質)が重要視されるようになった昨今では、

視力や外観の温存として

様々な専門性の高い医療がなされるようになってきました。

 

盲目になる原因として、最も多いのは白内障です。

これは、目の中の水晶体といわれる

カメラのレンズに相当するものが白く濁る病気です。

特に老齢性のものが多いとされています。

DSファーマさんのサイトに詳しいことが載っています。

 

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※画像は(株)HOYAのサイトより

 

白内障かどうかの診断には、スリットランプという機械を使います。

特殊な光で目を輪切りにして、

目のどこが白くなっているのかを検査します。

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「目が白い」という症状は、

検査してみると白内障ではないことも多く、

核硬化症というレンズの老化であったり

ぶどう膜炎や角膜炎などで、

水晶体以外のレンズに相当する場所(角膜前眼房)が白くなっていたりすることも

しばしば見受けられます。

たとえ白内障であっても、糖尿病など別の病気が原因である場合もあります。

 

シニア期のどうぶつにつきましては、

健康診断として年一回以上の

眼科一般検査をおすすめします。

(内容:Menace威嚇・Dazzle眩目・PLR対光・IOP眼圧・SLITスリットランプ・眼底)

 

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当院では眼科一般検査で費用は3000円です。

時間にして、1〜2分程度で素早く終わります。

(それ以上かけると、どうぶつの集中力が切れ、暴れてしまうためです。)

その他、涙液量検査が1000円追加となります。

※攻撃性のあるどうぶつでは口輪もしくは鎮静剤を使用する場合があります。

「細菌」と「ウイルス」の違い

動物病院には、

日常的に「感染症」にかかったどうぶつが来院されます。

人でも、

食中毒などの細菌感染症や

インフルエンザなどのウイルス感染症が

比較的身近にあることから、

イメージがつきやすいかもしれません。

 

しかし、

身近になりすぎて、

中には「細菌」と「ウイルス」が

ごっちゃになっているオーナー様も見受けられます。

 

一般的に、

細菌は、自己で増殖することが可能なため、

温度や湿度など、条件が揃えば食品などの環境中で増えることができます。

細菌感染症に対しては、

抗生剤という特効薬が効くため、比較的治療しやすいです。

(最近では効かないものも問題になっていますが…)

 

ウイルスは自己で増殖することができず、

宿主の細胞の核に寄生して増えます。

細菌と違い、環境中で増えることはありません。

よって、細菌のように栄養などを取り込むことがないため、

抗生剤が効きません

特効薬がないため、結局は自分の免疫力に頼ることになります。

 

ウイルスの脅威に対抗するには、

ワクチンで免疫力を強化し、

感染しないように予防することがもっとも重要です。

どうぶつも歯が命

近頃、に関する処置が多く、

獣医療においても、

歯の健康を保つことがきわめて大切であることを痛感しています。

 

犬猫の歯科で日常的に目撃するのが歯周病です。

 

フードメーカーのヒルズさんのホームページに、

わかりやすい歯周病についてが掲載されています。

 

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この状態、息が臭いだけと思うなかれ。

もちろん口内炎は痛いですし、

放置すると、顔に穴が開いたり

歯の根元や顎の骨が溶けてなくなってしまいます。

歯の中から血液中へとバイ菌が飛び、

様々な病気の原因となったりします。

歯周病は歯でなく、顎の骨の中で起こる病気なので、

見た目にはわからないこともあります。

 

 

特に犬は歯周病になりやすい口内環境をしており、

3日放置すると食べカスが歯石となって取れなくなってしまいます。

 

いったん歯石となってしまえば、

麻酔をかけて

超音波スケーラーという道具でキィーンとやらないと取れません。

(我々がよく歯医者さんでやられるやつです)

 

日常的に、はみがきなどによるオーラルケアを行い、

シニアになっても健康な歯を保ちましょう。

 

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当院では、比較的多く、うさぎの患者さんがいらっしゃいます。

うさぎも歯のトラブルが多く、しかも治療困難なことが多いです。

原因は、歯が一生伸び続けることと、

飼育環境が大きく影響しています。

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どうぶつも、歯が命。

ご不安な点があればお気軽にご相談ください。