ペットの病気・気になる症状

うさぎの避妊去勢手術の有用性

うさぎは、当院の患者様において犬・猫に次いで多い動物です。

完全草食動物であり、栄養価の低い植物からエネルギーを得るために、

非常に高性能な消化管と消化のしくみをもっています。

飼育環境下において、本来の食べ物ではない

高栄養の食事(ペレットや穀物など)を摂るようになり、

肥満や消化障害、歯牙疾患など、様々な病気になりやすくなっています。

食欲低下便の異常皮膚病血尿眼の異常神経症状

これらがよくある主訴となっています。

 

ところで、うさぎの避妊去勢手術の実施率は、犬や猫に比較しかなり低いと思います。

 

実はメスのうさぎの生殖器疾患は非常に多く、

その発生率は犬や猫よりもはるかに高いのです。

また、うさぎは交尾して排卵する動物であり、飼育下では発情状態が続くため、

ホルモンバランスが崩れやすいといわれています。

避妊手術によって、攻撃性がなくなり、とても飼育しやすくなることもメリットのひとつです。

オスに関しては、病気の予防という観点ではあまりメリットはありませんが、

攻撃性と、マーキングに関しては軽減します。

デメリットとしては、太りやすくなりますので、

抜糸後は肥満防止のため食事量の調整が必要になります。

 

年をとるごとに手術の危険性はあがりますので、

6ヶ月~1歳くらいの手術をおすすめします。

 

よく、うさぎの麻酔は危険だといわれますが、経験上、

健常な個体での麻酔で何らかのトラブルにあったことはありません。

草食動物にとって絶食は禁忌であるのと、非常にストレスを受けやすい性質のため、

術前術後の管理に多少工夫が必要です。

 

草食動物は、かなり全身状態が悪くなるまで症状を表に出しません。

症状が出てからの手術はハイリスクなため、健康な状態での手術をおすすめします。

 

当院では、小動物用の手術器具を揃えております。

手術についてのご要望、ご不明な点などがありましたら、まずはお電話にてご相談ください。

フェレットの予防医学

春になりました。

予防のシーズンですね。

 

犬や猫において、各種ワクチンやフィラリア、ノミダニの予防は有名です。

しかし、フェレットにおいては、あまり予防医学の概念が周知されていないようです。

 

フェレットの予防で特に重要なのは、

ジステンパーフィラリア症です。

 

どちらも、一度発症してしまうと死に至るケースが多いため、

犬や猫と同様に予防を確実に行うことが重要です。

 

ジステンパー予防は、年一回のワクチン接種で行います。

 

フェレットでは、心臓疾患の主なものとして心筋症が有名ですが、

フィラリア症も忘れてはならない心臓疾患のひとつです。

体が小さい分、少数寄生でも症状は重篤になります。

犬と同様に、血液検査をしてからの駆虫薬投与が推奨されています。

当院でのフィラリア予防は、5〜12月の間、月一回

錠剤のモキシデクチンまたはスポット薬のセラメクチンで行います。

 

ご不明な点があればご相談ください。

 

3月に、庭を耕して、種をまきました・・・

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今では、こんなに花が咲きました!

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オープンして、もう2ヶ月が過ぎたのですね。

高齢動物の身体の変化

老化は、生物にとって避けることができない現象です。

獣医学の発展とともに、ヒト同様、がんや心臓病などを診る機会が増えています。

また、これもヒト同様、高齢動物の介護ケアが問題になっています。

 

老化の速度には個体差があり、数値化できるようなものではありません。

何歳からが高齢なのか」を定義することは難しいと思われます。

しかし、主観的ではありますが、年齢の目安としては、

ある程度の判断材料があったほうが良いと思われます。

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加齢による身体の変化には、例として以下のものがあります。

①基礎代謝量が低下する。(太りやすくなる)(甲状腺機能亢進症など例外を除く)

②感覚機能の低下。(視力聴力などの衰え)

③脳の老化。(認知症様の症状や寝る時間が増えるなど)

④各臓器の老化。(代表例は腎臓肝臓心臓

⑤筋肉量・活動量の低下。(①につながり悪循環に)

⑥免疫機能の低下。(特に細胞性免疫)

 

これらの変化を検出するには、特に血液検査

(CBC、腎パネル、肝パネル、血糖値、脂質、アルブミン、電解質)

レントゲン検査

尿検査

などが重要になってきます。

 

そして、自然の摂理として、誰にも平等に「死」は訪れます。

高齢動物に必要なのは、

QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)の維持を目的とした治療。

たとえ、根治治療が困難であっても、緩和治療により、

動物が苦痛から解放され、

少しでも長く、苦痛の少ない状態で、オーナー様とともに時間を過ごし、

終末期を迎えることができる。

そのような治療が理想ではないかと思います。

 

介護などの在宅ケアは、肉体的にも精神的にも非常に負担が生じます。

しかし、可能な限り自宅にて看取ってもらうことで、

オーナー様自身のペットロスを和らげることができます。

実際に、後日談において、

「あの時は本当に大変であったが、最後まで看取ってあげることができ良かった。」

そう話していただけるオーナー様は多い。

病院のスタッフとオーナー様との信頼関係のもと、しっかり話し合い、みなで考え、

死から目を背けずに、一緒になって治療していくことが重要となります。