ペットの病気・気になる症状

秋こそ健康診断を!

 

 

みなさんこんにちは!

獣医師の中垣です。

 

つい先日、大阪公立大学の夜間救急にて初出勤を終えてきました。

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以前から、夜間救急で一度は働きたいと思っていたので、

この日を待ちに待っていました。

 

夜間では緊急性の高い動物たちが多く、

飼い主さんの不安や動揺も

その分大きくなります。

 

来院された時には、

不安でいっぱいの表情をされていたのに

帰る時には少し安堵して「ありがとう」と笑顔を見せてくださる飼い主さんを見て

この上ないやりがいを感じました。

 

これからも

想像していた以上にいい経験ができそうで、

胸が高まるばかりです。

 

さて今回は、

よくみなさんから

いつからすればいいいの?」とか

どれくらいの頻度ですればいいの

と質問をいただく「健康診断」について

少しお話しさせていただければと思います。

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まず、

健康診断をする意味について

考え方は様々だと思いますが

私は、病気を早期発見し早期治療するためであったり

健康であるということを確かめることで安心を買えるものだと認識しています。

 

そのため、

飼い主さんから先ほどのような質問を受けた際は

健康診断はやればやるだけ良いですよ

とお答えしています。

 

ただこれは極論です。

 

もちろんやればやるだけ早期発見の確率は上がりますし

安心できる回数も多くなります。

 

しかし、その度に動物には

ある程度ストレスがかかってしまいますし

費用も安いものではありません。

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物事にはバランスというものがありますので

そこを考える必要があります。

 

そのため、これらを続けて説明させて頂いた上で

健康診断は年に回実施することをお勧めしています。

 

1年に2回と聞くと、

私たち人間からして非常に多いように感じてしまうと思いますが

動物は私たちよりも遥かに早いスピードで歳を取っていきます。

 

ワンちゃんの1年は人間の4年に相当すると言われていますので

1年に2回ということは、

私たちが2年に1回健康診断を実施していることと同じです。

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そうやって考えてみると

1年に2回はそれほど多くはないんじゃないかと思います。

 

ここまで長々とお話ししましたが

今回私が一番お伝えしたいのが

タイトルにもある通り、秋こそ健康診断をしてみませんか?

ということです。

 

春にはフィラリアの予防シーズンがスタートするということもあり

フィラリア検査と同時に、健康診断として血液検査を実施される方が多くおられます。

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血液検査は非常に有用であり

体の状態について幅広く、そして大まかに調べることができます。

 

しかし、血液検査で異常が何もないからと言って

必ずしも安心だ、という訳ではありません。

 

最近血液検査をして何も異常はなかったのに

体調が急変して、よくよく調べてみると

病気が隠れていたなんてこともよくあります。

 

その理由は、

血液検査だけでは

わからないものがたくさんあるからです。

 

代表的なものとしては、

腫瘍や心臓病、呼吸器疾患、尿石症などなどです。

 

これらはレントゲンや超音波などの画像検査や、

尿検査などを実施しないとなかなか見つけることが難しいです。

 

なので、春のフィラリアシーズンには血液検査で大まかに検査をして

その半年後の秋には画像検査や尿検査を加えて

しっかりと調べてあげるというのが非常におすすめです。

 

みなさんのお家のワンちゃんネコちゃんも是非

健康診断を受けてみてはいかがでしょうか。

(健康診断のコースついてはホームページに記載してあります)

 

ちなみに最近、

飼い主様にお渡しする健康診断の報告書が

新しくリニューアルしました!

 

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健康診断の基本コース、しっかりコース、猫コースは予約が必要です。

ぜひスタッフまでお申し付けください!

 

 

 

【 ひふ 】 ~ 肛門腺の新常識 ~

こんにちは!

獣医師の足立です。

 

だいぶ涼しくなりました。

そろそろ紅葉シーンですね!

今年は京都大原の三千院へ

紅葉狩りに行こうかと今から計画中です。

毎日、紅葉情報をウキウキしながら見ています♪

 

 

 

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さて、今日は

みんな気になる肛門腺についてお話しします。

まず、肛門腺と呼んでいるあの構造物

実は正式名称、肛門嚢と言います。

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【 肛門嚢とは? 】

肛門周囲の皮下にある、

分泌物をためる

対の袋状のものです。

 

動物同士のコミュニケーション、

テリトリーの誇示など

に使われていると言われています。

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【 どんな構造? 】

分泌腺がふたつ

汗を出すアポクリン腺

皮脂を出す皮脂腺があります。

 

周りは外肛門括約筋

肛門括約筋に囲まれています。

 

なので、

排便や興奮して力んだ時

内容液が自然に出てきます。

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【 正常の肛門嚢の液体は? 】

色、形状、においともに

犬によりいろいろです。

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【 肛門嚢液が溜まりやすい原因は? 】

軟便、下痢

炎症性腸疾患

食物繊維の摂取不足

→ 肛門括約筋が収縮せず、

出る量が少なくなる

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肥満、アレルギー性皮膚炎

→ 肛門嚢の出口が内側へ入り込み、

外へ出しずらくなる

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過去の外傷の瘢痕化

→ 出口が狭いまたは閉塞する

 

など

 

 

 

 

【 肛門嚢以外でお尻を気にするのは? 】

お尻を気にしている犬の

約50%が

アレルギーが原因

とも言われています。

 

 

 

【 定期的に抜かなきゃいけない? 】

そんなことはありません。

溜まっても、普通は自然に出ていきます。

 

定期的に抜かないからといって

肛門嚢破裂につながることはありません。

 

ただ、溜まって気にする子は

定期的に抜いてあげると良いでしょう。

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【 こんなときは来院ください 】

おしりを気にしてこする

おしりを触ると痛がる

肛門嚢をしぼると血が出る

 

 

 

 

何か気になることがありましたら

お気軽にご相談ください。

 

 

今こそワクチン見直しませんか~レプトスピラについて~

 

みなさんこんにちは!

獣医師の中垣です!

 

先日はプチジャンボリーがあり

たくさんの飼い主さんと話せたり

ワンちゃんと触れ合うことができたりと

とてつもなく幸せな時間でした。

あの日からまだ余韻が続いています。

ご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございました!

 

 

ところで先月、当院にて

めずらしい「レプトスピラ症」のワンちゃんを診させていただいたので

今月はワンちゃんのレプトスピラ症についてお話しようと思います。

 

レプトスピラ症とは、

細菌が病原体であり

人間にも動物にも感染しうる人獣共通感染症です。

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人では4類感染症に分類されており

動物では7種類の血清型について

家畜伝染病予防法で届出伝染病に指定されています。

 

そのため、

私たち獣医師がレプトスピラ症のワンちゃんを見た場合

保健所への報告が必要となる病気です。

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ここまでで、何が言いたいかといいますと

レプトスピラ症はワンちゃんを介して人にも感染してしまうし

保健所に報告が必要なくらい重大な病気だということです。

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ちなみにですが、

レプトスピラは全国では珍しく

その中でも特に関西圏沖縄を中心に感染が確認されています。

 

数年前には、

大阪の北部でレプトスピラの集団感染が起こり

感染したワンちゃんのほとんどが亡くなってしまいました。

 

では、

レプトスピラ症は具体的に

どこから感染してどのような症状が現れるのでしょうか。

 

レプトスピラは主にネズミなどの野生動物が保菌しており

その保菌動物たちの尿から菌が排泄されることで水や土壌が汚染されます。

 

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厄介なことに排泄されたレプトスピラ菌は

その環境中で数ヶ月間生存することができると言われており

それらに汚染された水や土を口にしたりすることで感染してしまうのです。

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一旦感染すると、

レプトスピラ自体が肝臓や腎臓で増殖するため

急性肝不全急性腎障害などが起こってしまいます。

 

それにより、

嘔吐や発熱、また黄疸が出てきたり

腎臓で尿が作られなくなったりと様々な症状が発現し

高い確率で死に至ってしまうのです。

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実際に私が見たワンちゃんも

上記のほとんどの症状が見られ

悪化していくスピードもとてつもなく早かったです。

 

奇跡的にも、その子は発見が早く

一命を取り留めることができましたが

もう少し治療が遅れていたらと考えると

とても恐ろしいです。

 

そんな恐ろしいレプトスピラですが、

ワクチン接種をすることで感染、また重症化を防ぐことができます。

(レプトスピラにもいくつか種類があるので全てではないですが)

 

もし、お家のワンちゃんが

よく散歩に出かけたり、

キャンプに行ったり、

水辺に行ったり、

野生動物がよく出る所に住んでいたりと

これらに当てはまる子たちである場合

レプトスピラを含んだワクチンを接種しておくことを強くおすすめ致します。

 

どのワクチンを打つべきかについては

ぜひ動物病院にご相談ください。

 

【 ひふ 】 犬はげ ~ 耳のフチの毛が抜けてきました ~

 

 

こんにちは!獣医師の足立です。

先日はイデアプチジャンボリーに参加していただき

ありがとうございました!

 

プチと言いつつ、いろんなブースがあり

見どころがいっぱいでした。

 

 

私がその日一番印象に残っているのは

子供たちの笑顔でした(^^

 

楽しそうにスタンプラリーの寄生虫たちを探す姿

真剣にいのちの授業を聞く姿

不思議そうに動物を見る姿

全部が一生懸命で、

目がキラキラしていて

見てるだけでなんだか感動してしまいました。

 

 

 

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今日はハゲはハゲでも

耳のフチがハゲてくる病気が

どんなものがあるかお話しようと思います。

 

日ごろ診察していると、

程度はそれぞれですが

耳のフチに症状がある子はわりといる印象です。

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【 どんな症状が出るの? 】

 

耳のフチだけ

毛がない

カサカサしている

ベトベトしている

スポスポ毛の束が抜ける

カサブタがびっしり

フチから内側へえぐれてきている

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(犬猫の皮膚科HPより)

 

 

 

 

【 原因はなに? 】

 

大きく分けて以下の原因が考えられます。

感染性

免疫介在性

腫瘍性

物理的刺激

 

 

 

【 どんな病気があるの? 】

 

● 感染性

細菌、皮膚糸状菌、ニキビダニ、疥癬

によるものがあります。

おもに皮膚検査で診断していきます。

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● 免疫介在性

いくつかの病気があります。

全身に症状がでるもの

耳のみ症状がでるもの

遺伝性、投薬によるもの

ワクチン後になるもの

冬のみなるもの

など様々です。

 

皮膚検査のほかに

血液検査、尿検査

病理検査などにより診断していきます。

 

 

● 腫瘍性

扁平上皮癌、リンパ腫などがあります。

病理検査で診断していきます。

 

 

● 物理的刺激

外傷、凍傷、火傷があります。

 

凍傷は、冬場はもちろん

夏場にアイスノンを長時間

耳周りに巻いていても起こります。

火傷は、冬場にカイロなどを首周りにつけていたり

暖房器具による低温やけどでも起きます。

 

問診により診断していきます。

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【 どんな治療するの? 】

 

● 感染性

それぞれの薬を使います。

ニキビダニの場合は、基礎疾患がある場合が多いので

その治療もしていきます。

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● 免疫介在性

免疫調節剤、血行促進剤

免疫抑制剤、外用薬

などを使っていきます。

 

 

● 腫瘍

外科切除

抗がん剤など

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● 物理的刺激

刺激を避ける生活にする

 

 

 

 

耳でも皮膚でもその他でも

何か気になることがありましたら

お気軽にご相談ください。

 

 

先生、血が止まりません!

 

 

みなさんこんにちは!

 

10月に引っ越しをして新生活をスタートさせることに

胸を躍らせている獣医師の中垣です!

 

最近、免許の更新のために1人で試験場に行ったのですが

8月19日(バイクの日)ということで

白バイに乗れるキャンペーンがやっていました。

 

せっかくなので童心にかえってきました(笑)

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そしてそして、10月からは月に1回

りんくうタウンにある大阪公立大学の夜間救急で働かせて頂くことになりました。

僕自身、新しいことに挑戦することが大好きなので、本当にワクワクしています。

 

また、そこで得た知識や経験を持ち帰り

イデア動物病院に通ってくださるみなさまに

しっかり還元できるように頑張ろうと思います。

 

さて、今回は一見珍しいように思えて

病院では意外と目にすることがある

この病気についてご紹介したいと思います。

 

それが免疫介在性血小板減少症です。

僕は未だにこれを噛まずに言えません。

 

名前がすごく長く、難しいように思えますが

病態は至ってシンプルなので、それを説明していきたいと思います!

 

①どんな病気なのか

「免疫介在性血小板減少症」とは、

名前の通り免疫システムが働くことで

血小板がどんどん少なくなっていってしまう病気です。

 

本来、「免疫」とは自分たちの体を守るために

体に侵入してくる敵、つまり細菌やウイルス、腫瘍などを攻撃する働きがあります。

 

免疫力が高い人は、風邪を引きにくいって言ったりしますよね。

 

ただこの免疫のシステムが、

何らかの理由で誤作動を起こすことがあるんです。

 

ここで言う誤作動とは、

敵と味方(自分自身)の見分けがつかなくなってしまい

味方にまで攻撃を加えてしまうことを言います。

 

この免疫の誤作動によって

本来味方であるはずの血小板が壊されていってしまう病気

それが「免疫介在性血小板減少症」です。

 

血小板が壊されて何がダメなのか。

それは血小板の体の中での役割を知ると理解できます。

 

血小板は、何らかの理由で体の血管が傷つけられた時に

そこに蓋をする形で血を止めるように働きます。

 

またそこから血を止めるために

仲間を呼び寄せより強固に蓋をしてくれる

そんな働きがあります。

 

つまり、血小板が少なくなってしまうことで

体のあらゆる血管が破綻した際に

それらの機能が働かなくなり

出血を止めることができなくなってしまうのです。

 

②どんな症状が出るのか

代表的な症状としては、

・体表の点状出血

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・紫斑

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・血便

・吐血

・血尿

などなどです。

基本的に血を止める作用を持つ血小板が少なくなってしまうために

出血に類する症状が認められます。

血が止まりにくい、そんな怖い状況がずっと続いてしまうのです。

 

③治療

治療は免疫の暴走を止めるために

主にステロイドなどの免疫抑制剤を使用していきます。

 

多くの場合、

これらの免疫抑制剤による治療は長い期間必要となるため

副作用を抑えるために他の薬剤を併用したり

再発をより早期に発見するために

定期的な検査が必要になります。

 

今回は免疫介在性血小板減少症について簡単に説明しましたが

この病気は死亡する可能性もある病気であり

より早期の治療の介入が必要です。

 

今回挙げたものと似たような症状を見つけられた際は

早めに動物病院にご相談いただくことをお勧めいたします。