ペットの病気・気になる症状

犬の涙について

眼科は、特殊な器具や知識が必要になる専門分野のひとつです。

構造物は小さく、機能豊富で、デリケートであり、

検査や目薬もいやがる動物が多いため、治療に難儀します。

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今回は、目のお話、そのなかでも意外と重要なのお話をします。

 

涙には重要な役割があることをご存知でしょうか。

涙とは、ただの悲しいときに目から出てくる水ではございません。

目の表面を潤す作用があることは、ご承知の通りだと思います。

その他にも、表面のバリアとして感染を防いだり、

角膜に酸素や栄養を補給する作用もあります。

目の表面の角膜(黒目の部分)は、光を通すために透明になっており、

それはつまり、血管がないということでもあります。

よって、涙が、酸素や栄養を補給してあげないと飢えてしまうのです。

 

涙液は、厚さ0.01mmと薄いですが、実は3層粘液層、層、層)に分かれています。

1番内側のムチンを含む粘液層が角膜と他の2層をひっつけるのりの作用があり、

1番外側にある油層が水層の蒸発を防いでいます。

 

犬にもドライアイがあります。

1番多いのが、免疫異常による水層の量的低下ですが、

高齢だとマイボーム腺(油分を分泌する場所)が詰まりやすくなり発症する場合もあります。

人間のように、パソコンの見過ぎや瞬きの減少が原因となることはあまりありません。

治療は一生涯にわたる可能性があります。

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11月24日現在、当院では、無料で健康なわんちゃんに涙液の量を調べる検査を行っています。

製薬会社が、日本における健常犬の涙液量の正常値に関する統計をとっているとのことです。

正常値がわからないと異常値もわからないため、

こういった統計が全国の動物病院から集められ、正常範囲がわかり、病気の目安ができるのですね。

ご協力いただける方は、受付スタッフまでよろしくお願いします。

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実は、このコラムは、自分自身で月2回の更新を義務付けています。

義務付けないと、コラムを書かなくなるのが目に見えているからです。

自分でも、よく続いていると思います(笑)

スタッフブログに比べ、つまらない内容かも知れませんが、

誰か見てくれている人がいると信じて、これからも書き続けようと思っています。

猫の肥大型心筋症について

先日、猫の動脈血栓塞栓症の症例が緊急来院されました。

この病気は、かなりの確率で心筋症が原因であるといわれています。

今回も、肥大型心筋症が原因で、血液の流れが行き詰まり、

その結果、左心房内で血栓がつくられ、

後肢に分岐する動脈に塞栓したものと考えられました。

 

動脈血栓塞栓症は、突然発症します。

事前に心疾患の病歴がみられたのは1割以下だといわれています。

4割の猫では聴診所見は正常であるといわれています。

つまり、早期発見し、予防するのが困難な疾患であるということです。

(犬で多い弁膜症に関しては、聴診でわかることがほとんどです)

ほとんどが両後肢に発症しますが、

入院下での治療後、生存して退院できる可能性は3〜4割ほど。

退院したのち、治療しても1年は生きれないといわれています。

(専門医の治療を受けての場合です)

特に、低体温がみられた場合の予後は悪いといわれています。

 

心筋症は、肺水腫や胸水貯留によって、呼吸困難で来院される場合もあります。

いずれにせよ、緊急疾患のため、検査よりも治療を優先しないといけない場合が多く、

やはり病気を事前に発見しておくことは重要となります。

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(画像は、バレンタインハートと呼ばれる心房拡大の所見です)

 

最近では、猫の心筋症を早期発見するために、特殊な血液検査が推奨されています。

健康診断時に問診・聴診→心電図・レントゲン・血液検査などで異常が出た場合、

超音波検査で心臓内を精査されることをおすすめします。