先日、猫の動脈血栓塞栓症の症例が緊急来院されました。
この病気は、かなりの確率で心筋症が原因であるといわれています。
今回も、肥大型心筋症が原因で、血液の流れが行き詰まり、
その結果、左心房内で血栓がつくられ、
後肢に分岐する動脈に塞栓したものと考えられました。
動脈血栓塞栓症は、突然発症します。
事前に心疾患の病歴がみられたのは1割以下だといわれています。
4割の猫では聴診所見は正常であるといわれています。
つまり、早期発見し、予防するのが困難な疾患であるということです。
(犬で多い弁膜症に関しては、聴診でわかることがほとんどです)
ほとんどが両後肢に発症しますが、
入院下での治療後、生存して退院できる可能性は3〜4割ほど。
退院したのち、治療しても1年は生きれないといわれています。
(専門医の治療を受けての場合です)
特に、低体温がみられた場合の予後は悪いといわれています。
心筋症は、肺水腫や胸水貯留によって、呼吸困難で来院される場合もあります。
いずれにせよ、緊急疾患のため、検査よりも治療を優先しないといけない場合が多く、
やはり病気を事前に発見しておくことは重要となります。
(画像は、バレンタインハートと呼ばれる心房拡大の所見です)
最近では、猫の心筋症を早期発見するために、特殊な血液検査が推奨されています。
健康診断時に問診・聴診→心電図・レントゲン・血液検査などで異常が出た場合、
超音波検査で心臓内を精査されることをおすすめします。