ペットの病気・気になる症状

『DIC(ディーアイシー)』とは??

「ディーアイシー」というと、

医療関係者は“ビクッ”とします。

 

 

医者は、

できることなら患者の病気を治してやりたい。

これはみな考えていることだと思います。

バシッと治して「ありがとう」と言ってもらいたい。

そのために頑張って仕事をしています。

勝ち目の低い戦いをするのは誰だってイヤなものです。

なので「DIC」と聞くと、“ビクッ”とするのです。

 

 

 

「DIC」は、とても強い病魔であり、

病気のラスボスみたいなものです。

早期発見の難しい動物医療の現場では、

残念ながら遭遇することもしばしば。

 

 

 

 

 

 

日本語で略さずにいうと、「播種性血管内凝固症候群」といい

重症の基礎疾患があったうえで起こる予後不良の病態です。

 

 

 

簡単にいうと、

 

ガンや敗血症など重大な基礎疾患がある

全身で血液の凝固活性が起こる

血管内で血が固まり血栓ができまくる

血を固まらせる成分が使われすぎて逆に血が止まらない状態に

色々な臓器の血管を詰まらせ、多臓器不全の状態に

 

 

水道管が詰まりまくったら、そりゃ水は流れません。

血液が流れなかったら、そこの臓器は潰れますね。

 

 

 

 

 

診断は基礎疾患を見つけたうえで

血を固まらせる能力を検査するのですが、

DICと診断された時点で勝ち目の低い戦いとなります。

 

 

 

治療としては

原因となっている基礎疾患を治さなくてはいけないのですが、

血が止まらなくなっているうえ、

たくさんの臓器が機能していない危険な状態なので、

まず「治療に耐えれるのかどうか」が重要なポイントになります。

 

 

 

どんな病気にもいえることですが、

DICに移行してしまう前に治療。

つまり早期発見・早期治療することがきわめて大事です。

実は怖い【貧血】の話

新年あけましておめでとうございます。

開業以来、

えべっさんなど商売繁盛のお参りには行っていない院長です。

何か違和感があるんですよね〜。

動物病院の商売繁盛=患者様の病気を期待しているような…。

考えすぎなんでしょうが、

昔っから自分で納得できないことはしない頑固なモノなので、

もっと柔軟になりたいと考えています。

(まぁ3つ子の魂百までといいますし直らないでしょう)

そんなわけで、今年もよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

では、2017年、第一回目のコラムです。

 

 

 

 

今現在、

初代りきまる6頭のワンちゃんを、

2代目の銀杏3頭のワンちゃんの命を助けています。

わび・さびは仕事をしていません。(試食が主な仕事です)

 

 

さて

 

 

なんの話でしょう。

 

 

彼らは、当院の供血犬

つまり、輸血の際に血液をいただくドナー犬です。

 

 

ヒトでは、『血が足らない患者様には輸血をする』

こんなシチュエーションが多々あります。

 

 

では、どうぶつでは?

 

 

実は、

ヒトと同様にどうぶつでも、

輸血をしなければ命を落とすような場面に遭遇することがあります。

(血液型もちゃんとあるんです!)

 

 

 

当院の供血犬の銀杏には、

採血と採血の間に『1ヶ月以上の間隔をあけないといけない』というきまりがあります。

(できればもっと空けたいんですが、そうもいかないこともあり…)

これは、赤血球が再生してくるのに、

だいたい2〜3週間の期間がかかりますので(サイズや年齢・性別などで個体差があります)

あまり頻繁に採血すると【貧血】を起こしてしまうからなんですね。

 

 

 

そうです。

前置きが長くなりましたが、

今回のテーマは【貧血】です。

 

 

 

そういうことをいうと、

決まってこうおっしゃられる方がいらっしゃいます。

 

 

 

「えっ!どうぶつにも貧血ってあるんですか??」

 

 

 

もちろん、あります!

 

 

 

 

ヒトの血管は、

すべてつなぎ合わせると地球を2.5周するそうです!

そんなからだの隅々まで配置されている血管ですが、

なんのために存在しているのか?

血液を全身へ運ぶためですね!!

血液の中には酸素や栄養がたくさん含まれており、

それらを全身へ運ぶ大事なはたらきがあります。

その大事な血液が少なくなってしまう状態。

それを【貧血】といいます。

 

 

 

だいたいの貧血の原因というのは、

おおまかに分類すると、

 

血管外に出て行っているか(出血)

どこかで壊されているか(溶血)

根本的に作られていないか

 

のうちどれかに当てはまります。

 

 

 

貧血を起こしたどうぶつを自宅でカンタンに見分ける方法は、

歯ぐきの粘膜の色を見るといいと思います。

 

貧血がひどくなってくると、

歯ぐきの色がなくなって白っぽくなってきます。

 

 

 

開院して初めてのそういった患者さまは、

忘れもしない2014年4月。

脾臓破裂のわんちゃんでした。

 

 

 

最近では、

マ(魔)ダニが媒介する『バベシア症』から

貧血を発症した患者さまがいらっしゃいました。

 

 

 

粘膜が白くなるくらい貧血を起こすと

重症度はかなり高い場合が多く、

上記の2頭も来院してすぐに亡くなってしまいました。

 

 

 

実は怖い貧血の話でした。

キズを治す新しい考え方

こんにちは。

今月は一般的なキズを治す「新しい考え方」について

お話しさせていただこうと思います。

 

 

 

 

 

昔ながらの治療法としましては、

 

①まず傷口を消毒して、

②ガーゼやバンソウコウを貼って治す

 

という方法が一般的だったと思います。

 

 

 

しかし

 

 

 

最近では、

それは間違った治療法であり、

キズは

 

消毒しない乾かさないガーゼを当てない

 

ほうが治りが良くなる

といわれています。

 

 

 

 

それは、なぜか??

 

 

 

 

 

はい、説明しましょう。

 

 

 

まず、

①傷口を消毒する

ことについてです。

 

消毒薬は

実は【殺菌効果】<【皮膚のダメージ】であることがわかっており、

さらに消毒薬は生体にとって異物であり

傷口のアレルギー反応などを誘発し、

逆に治癒を遅らせる

といわれるようになりました。

 

今では、

大量の水道水や生理食塩水で洗い流し、

物理的に傷口をキレイにするだけで

消毒薬は必要ない

といわれています。

 

 

 

次に、

②バンソウコウやガーゼを傷口に直接貼る

という行為に関して。

 

これには、

キズを乾燥させてしまう

はがす際に皮膚やカサブタを剥離してしまう

などのデメリットがいわれています。

 

意外に思うかもしれませんが、

キズは、そこから出てくる

ジュクジュクの組織液で満たされているほうが治りが早いのですね。

可能なのであれば

キズは湿った環境で治すほうが治りは良いとされています。

 

 

 

 

ということは、

 

昔の治療法とは真逆の考え方になっている

 

ということになりますね!

 

 

 

 

 

医療の分野において、

治療法はコロコロ変わるものです。

今日お話ししたことも、

数年後には全く変わっているかもしれません。

 

このケースのように180度変わるのは珍しいですが、

日々進歩していく医療についていくためにも

常日頃から我々は勉強をしないといけません。

 

 

 

今回のお話は、

あくまで一般的なキズの治し方についての考え方です。

当然、キズの場所、深さ、感染の有無、どうぶつの免疫力などによって

治療法は変わります。

しかしながら、

消毒薬、ガーゼなどは

キズを治す治療には

もうあまり使われなくなっているのは事実です。

全身麻酔の注意点③【生命を維持するABC】

では、麻酔の注意点第3弾目です。

今回は、生命を維持のための仕組みについてです。

 

 

 

人を含めどうぶつの体は、

エネルギーを産生するための酸素を体内に取り込み、

それを体の隅々まで供給することで生命を維持しています。

 

 

 

 

まず、

息を吸って「肺」で酸素を血液中に取り込みます。

息の肺までの通り道を

気道Airway)といいます。

 

そして血液中の赤血球が酸素を取り込むことを

呼吸Breathing)といい、

肺で呼吸によって酸素化された赤血球は、

心臓というボンプによる

循環Circulation)の働きで全身に運搬されます。

 

 

 

 

この一連の生命維持の仕組みを頭文字をとって

「ABC」とわかりやすく覚えてください。

 

 

 

 

 

麻酔中はそのABCのどれもが低下しやすいため、

気管挿管して気道(A)を確保し、

人工呼吸器などで呼吸(B)をさせ、

モニターなどで状態を把握したうえで

麻酔薬や点滴量、痛み止め、昇圧剤などを調整しながら

可能な限り循環(C)を正常な状態にもっていくわけですね。

 

 

 

 

 

麻酔は少なすぎても起きてしまうし、

多すぎてもABCの低下を引き起こしてしまうので、

 

寝ており、かつABCは正常に近い状態

 

これが理想的な麻酔のかかり具合。

 

この状態にもっていくための微妙な調整が腕の見せどころなわけです。

 

 

 

全身麻酔の注意点②【術中モニター】

 

 

 

それでは麻酔シリーズの第2回目です。

 

 

 

 

全身麻酔中には、

生体情報モニター」と呼ばれる医療機器で

全身状態のモニタリングを行います。

もちろん、麻酔中の患者様の状態を把握するためです。

 

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この医療機器に、

患者様の呼吸状態循環動態麻酔深度などの情報が示されます。

そのデータを参考にして、

点滴や麻酔薬などを調節しながら

なるべく正常な状態に近くもっていくわけです。

 

 

 

これがないと、

知らない間に麻酔が効きすぎたりして

患者様が危険にさらされている

ということも起こり得ります。

 

 

 

 

 

安全な全身麻酔のためには欠かせない医療機器です。