ペットの病気・気になる症状

キズを治す新しい考え方

こんにちは。

今月は一般的なキズを治す「新しい考え方」について

お話しさせていただこうと思います。

 

 

 

 

 

昔ながらの治療法としましては、

 

①まず傷口を消毒して、

②ガーゼやバンソウコウを貼って治す

 

という方法が一般的だったと思います。

 

 

 

しかし

 

 

 

最近では、

それは間違った治療法であり、

キズは

 

消毒しない乾かさないガーゼを当てない

 

ほうが治りが良くなる

といわれています。

 

 

 

 

それは、なぜか??

 

 

 

 

 

はい、説明しましょう。

 

 

 

まず、

①傷口を消毒する

ことについてです。

 

消毒薬は

実は【殺菌効果】<【皮膚のダメージ】であることがわかっており、

さらに消毒薬は生体にとって異物であり

傷口のアレルギー反応などを誘発し、

逆に治癒を遅らせる

といわれるようになりました。

 

今では、

大量の水道水や生理食塩水で洗い流し、

物理的に傷口をキレイにするだけで

消毒薬は必要ない

といわれています。

 

 

 

次に、

②バンソウコウやガーゼを傷口に直接貼る

という行為に関して。

 

これには、

キズを乾燥させてしまう

はがす際に皮膚やカサブタを剥離してしまう

などのデメリットがいわれています。

 

意外に思うかもしれませんが、

キズは、そこから出てくる

ジュクジュクの組織液で満たされているほうが治りが早いのですね。

可能なのであれば

キズは湿った環境で治すほうが治りは良いとされています。

 

 

 

 

ということは、

 

昔の治療法とは真逆の考え方になっている

 

ということになりますね!

 

 

 

 

 

医療の分野において、

治療法はコロコロ変わるものです。

今日お話ししたことも、

数年後には全く変わっているかもしれません。

 

このケースのように180度変わるのは珍しいですが、

日々進歩していく医療についていくためにも

常日頃から我々は勉強をしないといけません。

 

 

 

今回のお話は、

あくまで一般的なキズの治し方についての考え方です。

当然、キズの場所、深さ、感染の有無、どうぶつの免疫力などによって

治療法は変わります。

しかしながら、

消毒薬、ガーゼなどは

キズを治す治療には

もうあまり使われなくなっているのは事実です。

全身麻酔の注意点③【生命を維持するABC】

では、麻酔の注意点第3弾目です。

今回は、生命を維持のための仕組みについてです。

 

 

 

人を含めどうぶつの体は、

エネルギーを産生するための酸素を体内に取り込み、

それを体の隅々まで供給することで生命を維持しています。

 

 

 

 

まず、

息を吸って「肺」で酸素を血液中に取り込みます。

息の肺までの通り道を

気道Airway)といいます。

 

そして血液中の赤血球が酸素を取り込むことを

呼吸Breathing)といい、

肺で呼吸によって酸素化された赤血球は、

心臓というボンプによる

循環Circulation)の働きで全身に運搬されます。

 

 

 

 

この一連の生命維持の仕組みを頭文字をとって

「ABC」とわかりやすく覚えてください。

 

 

 

 

 

麻酔中はそのABCのどれもが低下しやすいため、

気管挿管して気道(A)を確保し、

人工呼吸器などで呼吸(B)をさせ、

モニターなどで状態を把握したうえで

麻酔薬や点滴量、痛み止め、昇圧剤などを調整しながら

可能な限り循環(C)を正常な状態にもっていくわけですね。

 

 

 

 

 

麻酔は少なすぎても起きてしまうし、

多すぎてもABCの低下を引き起こしてしまうので、

 

寝ており、かつABCは正常に近い状態

 

これが理想的な麻酔のかかり具合。

 

この状態にもっていくための微妙な調整が腕の見せどころなわけです。

 

 

 

全身麻酔の注意点②【術中モニター】

 

 

 

それでは麻酔シリーズの第2回目です。

 

 

 

 

全身麻酔中には、

生体情報モニター」と呼ばれる医療機器で

全身状態のモニタリングを行います。

もちろん、麻酔中の患者様の状態を把握するためです。

 

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この医療機器に、

患者様の呼吸状態循環動態麻酔深度などの情報が示されます。

そのデータを参考にして、

点滴や麻酔薬などを調節しながら

なるべく正常な状態に近くもっていくわけです。

 

 

 

これがないと、

知らない間に麻酔が効きすぎたりして

患者様が危険にさらされている

ということも起こり得ります。

 

 

 

 

 

安全な全身麻酔のためには欠かせない医療機器です。

 

 

全身麻酔の注意点①【鎮痛という考え方】

外科手術において、全身麻酔はなくてはならないものです。

しかし、高齢や、全身疾患を抱えている動物では、なるべくかけたくないもの。

僕だってそうです。

 

でも、詳しいことは知らず、

ただなんとなく『全身麻酔』というだけで怖がっている方、

いらっしゃいませんか?

少なくとも、僕が対応させていただいているオーナー様の中には

それなりにいらっしゃるように感じております。

 

そこで今回から、

僕も含めたみんなが恐れる全身麻酔について、

理解を深めるためにお話ししていこうと思います。

(以前にコラム『麻酔は怖い?』でも書いています)

 

まずは、【鎮痛という考え方】についてです。

 

 

 

 

 

当院では、

【イソフルラン】という吸入麻酔薬を術中メインに使用することが多いですが、

これは大脳皮質を抑制するため、

動物を手術中、動かなくさせることは問題ありません。

 

しかし、痛みに対する全身の反応は十分に抑制することはできません。

(侵害刺激に対するセキズイや視床への神経伝達→交感神経および神経内分泌の反応)

 

そのため、痛いことをすると全身麻酔下でも体がピクピク動くことがあるのです。

 

そこで、動くから術中危ないといって、全身麻酔薬の量を増やしても、

麻酔の副作用である循環抑制(心拍数減少・血圧低下)なども強く出てしまい、

結果、術中・術後の循環不全のリスクが高まってしまうだけ・・・。

 

また、痛みはコルチゾール分泌や高血糖などを誘導することから、

免疫低下による感染治癒遅延などのリスクも増大します。

 

当然、万人が『痛いのはイヤ』なのですが、

実はそれだけではなく、

痛みは色々治りを悪くするんですね。

 

 

 

 

 

そこで、【鎮痛】という考え方が必要になってきます。

 

当院では、その手術の予想される痛みによって、

複数の鎮痛組み合わせて使用しています。

これを【マルチモーダル鎮痛】といいます。

 

強力な鎮痛剤のなかには、

今世間をにぎわせている「麻薬」に指定されているものもありますが、

安全な麻酔のためには必須の考え方であります。

 

鎮痛をうまく使いこなせれば、

全身麻酔薬の量を、

なんと

半分以下まで落とすことも可能なのです!!

 

 

 

 

内容が難しくなってしまいましたが、

これでも、実はかいつまんでお話ししているところです。

 

 

 

 

 

今回からシリーズで書いていきますが、

わかっていただきたい点は、

麻酔は奥が深く

落とし穴を踏まなければ、

それほど危険なものでもない

ということをご理解いただければ、

これ以上のことはありません。

内視鏡検査とは?

当院では、

なかなか治らない下痢や嘔吐などの

慢性消化器疾患のどうぶつに

内視鏡検査が可能です。

 

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「内視鏡検査」という言葉にはあまり馴染みがないのか、

漢字からも内容がわかりづらいのですが、

 

(なかを)

(みる)

(スコープ)

 

ということですね。

 

「胃カメラ検査」

 

というと

 

「ああ!」

 

と、ご理解いただける場合も。

 

 

 

この「胃カメラ検査」ですが、

 

全身麻酔をかけないとできない

 

のが最大のネックとなり、

こちらが勧めても、

 

「したくない」

 

と断られることも多いです…。

 

 

 

しかし、この「胃カメラ検査」

よく考えてみてください。

 

ヒト医療では全身麻酔がいらないにしても、

かなり一般的に行われています。

 

人間ドックの1項目としても行われるくらいです。

 

 

 

ということは、

かなり重要な検査だということです。

それなのに、

どうぶつ医療においては

日常的に行われる検査ではありません。

 

 

 

 

別の用途になりますが、異物はよくとります。

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どうぶつでは、どうもこちらのイメージが強いようですね。

 

 

 

 

しかし、内視鏡は本来の用途は【検査】です。

 

 

食道〜胃〜小腸

また

大腸

 

といった口から肛門までの消化管の内部を目視でき、

怪しい場所から組織を採取して調べることも可能です。

 

こういった一連の検査は、

潰瘍・炎症・腫瘍・ポリープなどの診断に大きく貢献します。

 

 

 

 

最近では、

直腸に腫瘍のあるわんちゃんに

下部消化管内視鏡検査(大腸鏡検査)を行いました。

 

これはお尻から内視鏡を入れる検査です。

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中央やや下に見えるのが直腸腫瘍です。

 

 

結果的に手術計画の立案に大きく貢献し、

手術は無事、計画通りに終えることができました。

 

 

 

 

このように、メリットの大きい検査です。

 

 

 

確かに全身麻酔下でないとできないので、

血液検査やエコー検査のように

気軽にできる検査ではないですが、

「早くやってたら良かった」

と思うような恐ろしい病気が見つかることもあります。

 

当院では、そういった理由から、

リスクを感じた際は積極的に勧めるようにしております。