ペットの病気・気になる症状

【ひふ】 しっぽが黒ずんでませんか?

こんにちは!

獣医師の足立です。

もうすぐ開業10周年のジャンボリーです!

当日の配置設定やお店とのやりとりやなんやで

実行委員さんは毎日忙しそうです!

みなさん楽しみにしていてくださいねー!

 

 

 

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おうちの猫ちゃん、体の毛並みはいいのに

しっぽの毛だけベタベタしたり、

しっとりしていることありませんか?

それはもしかしたら

スタッドテイルと呼ばれる病気かもしれません!

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●どんな病気?

尾腺過形成とも呼ばれる病気で、

しっぽの付け根部分にある尾腺と呼ばれる部分から

皮脂分泌が過剰になり

ベタベタしてしまう病気です。

 

未去勢のオス猫に多く見られます。

 

進行すると皮膚がボコボコになることもあり、

〈stud=鋲の頭〉のような〈tail=しっぽ〉

と呼ばれています。

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●原因は?

尾腺(皮脂腺)からの

皮脂分泌の過剰により起こりますが、

なぜ過剰になるのかはっきり原因は分かっていません

 

未去勢のオス猫に多く発生しますが、

去勢済みのオスやメスでも発生することがあります。

 

狭いケージ内で飼育されている猫や、

毛づくろいをあまりしない猫では悪化しやすいとされています。

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●どんな症状?

しっぽのみに症状が現れます。

特にしっぽの付け根の

尾根部と呼ばれる部分に症状が現れやすいです。

 

毛がベトベトになったり

固まってしまったり

独特のにおいがしたりもします。

 

皮膚部分は

ワックスのような皮脂が付着していたり

黒ずんだ

脱毛したりします。

 

進行すると

炎症細菌感染を起こし

かゆみや痛みが出てくるようになり

自分で舐め壊してしまうことがあります。

 

 

 

●診断方法は?

特徴的な症状により診断したり

皮膚生検を行い判断していきます。

 

似たような症状の病気で

ニキビダニ症、皮膚糸状菌症

表在性膿皮症、腫瘍

なども除外していかなくてはいけません。

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●治療法は?

根本的な治療法はありません。

皮膚を衛生的に保ち、

皮脂のコントロールを行うことが大切です。

 

1. 患部の毛刈り

被毛についた分泌物を取り除くためと

シャンプーや外用薬などの浸透をよくするために行います。

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2. シャンプー

余分な皮脂をとるために行い、

皮膚を清潔に保つために行います。

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3.生活環境の見直し

1日の大半をケージ内で過ごす猫は、

毛づくろいの時間が短くなり

発症すると言われています。

そのためできるだけケージ外で自由にできる時間を増やし

毛づくろいの機会を増やしてあげましょう。

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4.去勢手術

病状の進行を阻止できる可能性があります。

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●まとめ

スタッドテイルは命に関わる病気ではありませんが、

患部のべたつきや臭いによる不快感は

飼い主さんだけでなく

猫ちゃん自身にもストレスになってしまう可能性があります。

お家の猫ちゃんにもし皮膚の違和感があれば

早めに相談してください。

【 ひふ 】カビになったときのお家でのケア法

こんにちは!獣医師の足立です。

 

最近イデアには見学者や実習生さんが

ちょくちょく来てくれます。

学生さんの実習や、新しい職場を探している方

いろいろです。

新しい人とおしゃべりするのは

知らないことをたくさん聞けたりして楽しいですね!

 

 

 

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今日は実は大事でも、

あまり診察でも聞かないかもしれない話

お家のわんちゃん、ねこちゃんが

皮膚糸状菌症になった時の

お家での環境ケア清掃方法についてお話します◎◎

 

 

 

皮膚糸状菌症は一般的に

免疫が弱い子犬や子猫で多く見られる病気です。

成長とともに免疫がしっかりしてくると

自然に治ることが多い病気でもあります。

 

注意したいのは

脱毛などの症状がなくなった場合でも

生えてきた毛にまだ糸状菌はいるということです!!

その毛が生え変わるまで

他の動物、人間に感染する可能性ががあります。

 

 

 

そう、皮膚糸状菌症は

他の動物(犬、猫、他)にうつる

感染症

かつ、人間にもうつる

人獣共通感染症

でもあります。

 

 

 

人間にうつる場合、

特にお子さん高齢者で重症化することがあるので

しっかりと注意しないといけません。

 

治療で一番大事なのは動物さんの投薬治療や

シャンプーなどの外用療法ですが、

一番の近道は

汚染された環境を広げない

汚染された環境の掃除

が大事になってきます。

 

 

 

そのためには

以下のことを

を行っていきます。

 

 

 

隔離

隔離の目的は

感染した毛やフケを

広げないためと

それらの除去・掃除をしやすくするためです。

 

チェック項目

1 同居動物に感染の症状がないか

2 同居動物に症状がない場合でも、一度は抗菌シャンプーで洗浄を行う

3 感染動物の隔離スペースを確保する

隔離スペースはフローリングで物が少なく、掃除しやすい場所が良いです。

 

 

 

掃除

トリプル洗浄 (週に1、2回)

 

1 掃除機やワイプなどで物理的にゴミを除去する

2 水と洗剤を用いて、徹底的に洗い落とす

3 適切な消毒薬で消毒

 

消毒液はハイターなどの次亜塩素酸ナトリウム

10~100倍に希釈し

約10分間の接触時間を設ける必要があります。

 

 

いかがでしょう?

けっこう大変ですね。

ただ、特にお家に免疫が低下している方がいる場合は

必ずやってもらった方が良いです!

【 ひふ 】 中も外も症状が出る病気

こんにちは!

獣医師の足立です。

 

みなさん楽しいクリスマスは過ごせましたか?

我が家では子供に初めてサンタが来ました!

アンパンマンのおもちゃの外箱を見ただけで喜んでいました♪

アンパンマンってすごいですね!

 

 

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さて、今日はあまり聞きなれない

皮膚だけじゃない皮膚の病気

全身性エリテマトーデス ( SLE )

という病気を説明していきます!

 

 

 

【SLEって?】

犬でまれに発生する免疫介在性疾患

猫では極めてまれ。

 

自身の免疫物質が自分自身を攻撃してしまう病気。

なので、攻撃する場所により症状が様々

 

 

 

【 原因は? 】

遺伝的要因、環境要因、薬剤、感染などが引き金となる。

紫外線が悪化原因となると考えられている。

 

結局、原因やきっかけは分からないことがほとんど。

 

 

 

【 症状は? 】

複数の臓器が同時に侵され、様々な症状を示す

 

発熱

リンパ節腫大

活動性の低下

食欲不振

体重減少

跛行

皮膚病変など

 

 

 

【 診断は? 】

診断はさまざまな検査を行い、総合的に判断する。

以下の項目中、3個以上を満たした場合SLEと診断する。

 

抗核抗体(ANA)陽性

血液を外部の検査機関に送り、確認。

 

皮膚病変

全身に症状出うる。

特に、眼周囲、鼻、耳に症状出やすい。

 

口腔内潰瘍

口内炎ができる。

口痛の症状や、ごはんを食べにくいなどの症状が出ることも。

視診で確認。

 

非びらん性多発性関節炎

四肢のびっこ

症状は波があり、四肢順番に症状出ることも。

関節部を気にして舐めることもある。

診断は関節穿刺を行い、確認する。

 

腎疾患

血液中の腎関連項目を確認。

尿蛋白の存在を確認する。

 

溶血性貧血 ± 血小板減少症

歯茎の蒼白、血便、皮膚に紫斑が出てくることも。

血液検査で確認。

 

●  白血球減少症

敗血症になることも。

血液検査で確認。

 

多発性筋炎または心筋炎

筋硬直による運動性低下や

心筋炎では心不全症状も。

症状や血液検査などで診断。

 

漿膜炎

エコー、レントゲンなどで

腹水、胸水、心嚢水確認。

 

神経疾患

 

抗リン脂質抗体陽性

 

 

 

【 治療は? 】

主体は、免疫抑制療法

ステロイド剤

他、免疫用抑制剤

などを使っていく。

 

初期はステロイドを高容量で使用し、

症状が改善あれば少しずつ容量を落としていく。

 

長期的には、副作用が少ないステロイド以外の

免疫抑制剤のみで維持できるよう目指す。

 

 

 

【 SLEのポイントは? 】

SLEのややこしい所は、一気に症状が出ない所です。

 

最初は片眼の上が腫れてきただけ。様子を見ていると、

眼の腫れはなくなったけど、前足びっこし出したり、

それが治ったと思ったら、

今度は後ろ足びっこして、口が痛そうにもし出して、

今度はいよいよ元気もなくなってきた!

 

こんな感じで、最初はちょっとした症状でも

次から次へと新しい症状が出てくることが多いです。

なので、最初からこの病気を疑うのは難しいことがほとんどです。

 

 

 

SLEは命に関わる病気です。

もし疑いがあるのであれば

診断まで時間をかけていられないので、

ひとつずつの検査を順番にやるのではなく、

一気に検査を行って最短で診断する必要があります。

 

 

 

 

 

 

猫の乳がん

こんにちは!獣医師の足立です。

あっという間に年末ですね。

私事ですが、最近引っ越しました!

広くはなったんですが、古いお家なので

やはりこの時期は家の中でも寒くなります。

そのせいで?鼻声になってしまいました。。。

 

皆様もこの師走、

バタバタしますが

お体には気を付けてお過ごしください!

 

 

 

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今日は犬とは違う、

猫の乳がんについてお話します。

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【 猫の乳がんって? 】

乳腺にできる悪性腫瘍のことです。

 

悪性腫瘍は猫の死因のトップで、1/3を占めています。

その悪性腫瘍の中でも、乳がんは最も多い腫瘍です。

 

 

 

【 犬と猫の乳腺のしこりの違いは? 】

:3つに1つが乳がん。

9割が乳がん!

猫は乳腺にしこりができると、ほぼほぼ癌です。

 

 

 

【 発生しやすい性別や年齢は? 】

99%メスで発生します。

年齢は、中から高齢で発生しやすいです。

他の年齢でもなりますが、

10-12歳で最もなりやすいです。

 

 

 

【 猫の乳がんの特徴は? 】

転移のリスクがかなり高い癌です。

 

がん細胞は以下の順番に転移していきます。

腫瘍→リンパ節→肺や他の臓器

 

あるデータでは

乳腺がんが見つかった時点で約50%の子で、

リンパ節転移があると言われています。

 

 

 

【  もし乳腺がみつかったら? 】

大きさで予後がだいたい変わってきます。

2cm以上のものだと

生存期間が大幅に短くなる可能性があります。

 

治療は基本外科切除です。

どんな小さなしこりでも

すでに周囲に広がっている可能性が高いため

乳腺片側切除という術式で手術していきます。

 

 

 

【 お家でできる対策は? 】 

早めに避妊手術!

1歳以下で 避妊手術を行うと、

ほぼ乳がんのリスクはなくなります。

 

お家で早期発見!

普段からお腹をさわるようにしてもらうことにより、

万が一しこりができても

早期発見で根治できる可能性があります。

 

 

 

【 さいごに 】

日本小動物がんセンター長で

猫大好きな小林哲也先生が

キャットリボン活動をされております。

これは乳がんで苦しむ猫をなくそうという活動です。

 

HPがかわいくて、いろいろ分かりやすく書いてあるので

ぜひ一度を見に行ってみてください。

キャットリボン運動公式HP | 乳がんで苦しむ猫をゼロにする。 (catribbon.jp)

キャットリボン運動公式HP | 乳がんで苦しむ猫をゼロにする。

 

 

【 ひふ 】 犬の肛門にできるイボ

こんにちは!

獣医師の足立です。

すっかり朝晩は寒くなってきましたね。

ふとんが気持ちい季節になりました。

皆様も体調と寝坊にはお気を付けください。

 

 

 

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今日はわりと良く遭遇する

肛門のイボ

肛門周囲腺腫

についてお話します。

 

 

肛門周囲腺って?

脂を出す、皮脂腺のひとつです。

肛門周囲以外に

包皮、尾、腰部背側に存在します。

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肛門周囲腺腫って?

皮膚表面にできる良性の腫瘍です。

ゆっくり大きくなり、

最後は、イボから出血したり

細菌感染し、においがきつくなることもあります。

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どんなところにできる?

肛門周囲腺がある

肛門、包皮、尾、腰背部

できやすいです。

 

 

どうしてできる?

男性ホルモンであるテストステロンの刺激により腫瘍化します。

 

 

どんな子ができやすい?

去勢手術をしていない高齢のオスがほとんどです。

まれに去勢済みのオスや、

メスでもできます。

 

 

治療法は? 

精巣摘出術 (去勢手術)

小さい腫瘍であれば、これだけでイボも小さくなります。

 

イボの切除

去勢済みのオスや、メスの場合

あまりにも大きなイボの場合は、

去勢手術をしてイボが小さくなってからイボの切除を行います。

 

 

予後は?

肛門周囲腺腫であれば、

去勢やイボの切除後は予後良好です。

時々、肛門周囲腺癌という

悪性の場合もあるので要注意です。

 

 

コメント

去勢をしていなくて

肛門に小さなイボがあるのであれば、

大きくなる前に早めに診察へ。

肛門周囲腺腫の可能性があります。

大きくなって悪くなる前に

治療してあげましょう。