では、麻酔の注意点第3弾目です。
今回は、生命を維持のための仕組みについてです。
人を含めどうぶつの体は、
エネルギーを産生するための酸素を体内に取り込み、
それを体の隅々まで供給することで生命を維持しています。
まず、
息を吸って「肺」で酸素を血液中に取り込みます。
息の肺までの通り道を
気道(Airway)といいます。
そして血液中の赤血球が酸素を取り込むことを
呼吸(Breathing)といい、
肺で呼吸によって酸素化された赤血球は、
心臓というボンプによる
循環(Circulation)の働きで全身に運搬されます。
この一連の生命維持の仕組みを頭文字をとって
「ABC」とわかりやすく覚えてください。
麻酔中はそのABCのどれもが低下しやすいため、
気管挿管して気道(A)を確保し、
人工呼吸器などで呼吸(B)をさせ、
モニターなどで状態を把握したうえで
麻酔薬や点滴量、痛み止め、昇圧剤などを調整しながら
可能な限り循環(C)を正常な状態にもっていくわけですね。
麻酔は少なすぎても起きてしまうし、
多すぎてもABCの低下を引き起こしてしまうので、
寝ており、かつABCは正常に近い状態
これが理想的な麻酔のかかり具合。
この状態にもっていくための微妙な調整が腕の見せどころなわけです。