ペットの病気・気になる症状

恐ろしい病気~膵炎~

最近、立て続けに膵炎(すいえん)の患者様が来院されます。

 

膵炎といえば、チュートリアルの福田さんや中川家の剛さんなど、

多数の芸能人が罹患しニュースになることがあるため

知っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

動物でも人と同様に、膵炎はあります。

症状は、下痢や嘔吐などの消化器症状など。

特徴的なのは、背中に近い腹痛のため、

椎間板ヘルニアなんかとよく似た激しい痛みの症状を示します。

背中を丸めてじっとしていたり、抱くとキャンと鳴いたりします。

「祈りの姿勢」といって、お尻を後方に突き出してひれ伏すような姿勢をとることもあります。

重症例、進行例では、命に関わることも多い恐ろしい病気のため、

ご自宅でこのような様子を見かけたら早急にホームドクターに相談してください。

 

膵臓

膵臓とは、胃の裏側にへばりついている臓器であり、

その主な機能のひとつが、

体の消化機能の大半を占める消化液、「膵液」を分泌することです。

「膵液」は食べ物の三大栄養素である、

「炭水化物」「脂質」「タンパク質」をすべて溶かすことができます

まさに、最強の消化液です。

 

では、なぜ、膵臓は自分自身を溶かさないのでしょうか。

実は膵液は、膵臓の中では機能を持たず、

十二指腸に分泌されて活性化し、はじめて機能を持ちます。

膵炎になると、この順番が何らかの原因でうまくいかず、

膵臓の中で活性化してしまい自己消化が起こります。

体の中がドロドロに溶けていくのです。

 

治療法は、直接劇的に効果のあるものはなく、点滴に頼ることになります。

軽症例では、通院下で皮下点滴のため通っていただく場合もありますが、

重症例では、入院下での静脈点滴は必須です。

炎症の悪循環を絶たなければいけません。

治療が長期に渡ることも多いです。

 

また一度溶けた膵臓はもろくなるため、再発が多いのもこの病気の特徴です。

 

まさに、一筋縄ではいかない病気であることがおわかりいただけたでしょうか。

 

特定の犬種、人間の食べ物、高脂肪食、肥満やストレスが危険因子となりますので、

これらにあてはまる場合には、特に注意が必要です。