「ディーアイシー」というと、
医療関係者は“ビクッ”とします。
医者は、
できることなら患者の病気を治してやりたい。
これはみな考えていることだと思います。
バシッと治して「ありがとう」と言ってもらいたい。
そのために頑張って仕事をしています。
勝ち目の低い戦いをするのは誰だってイヤなものです。
なので「DIC」と聞くと、“ビクッ”とするのです。
「DIC」は、とても強い病魔であり、
病気のラスボスみたいなものです。
早期発見の難しい動物医療の現場では、
残念ながら遭遇することもしばしば。
日本語で略さずにいうと、「播種性血管内凝固症候群」といい
重症の基礎疾患があったうえで起こる予後不良の病態です。
簡単にいうと、
ガンや敗血症など重大な基礎疾患がある
↓
全身で血液の凝固活性が起こる
↓
血管内で血が固まり血栓ができまくる
↓
血を固まらせる成分が使われすぎて逆に血が止まらない状態に
色々な臓器の血管を詰まらせ、多臓器不全の状態に
水道管が詰まりまくったら、そりゃ水は流れません。
血液が流れなかったら、そこの臓器は潰れますね。
診断は基礎疾患を見つけたうえで
血を固まらせる能力を検査するのですが、
DICと診断された時点で勝ち目の低い戦いとなります。
治療としては
原因となっている基礎疾患を治さなくてはいけないのですが、
血が止まらなくなっているうえ、
たくさんの臓器が機能していない危険な状態なので、
まず「治療に耐えれるのかどうか」が重要なポイントになります。
どんな病気にもいえることですが、
DICに移行してしまう前に治療。
つまり早期発見・早期治療することがきわめて大事です。