ペットの病気・気になる症状

当院の「痛み」についての考え

 

 

「知識」は勉強によって年齢関係なく身につけることができますが、

「経験」だけはどうにもなりません。

 

 

獣医師あるあるですが、一度自分自身が病気になると

「やった、これでこの病気になった子の気持ちがわかるぞ」

謎の好奇心が満たされることがあります。

 

 

 

僕は椎間板ヘルニアに2度なり、全く動けない程の神経性の痛みを経験し、救急車で運ばれました。

今もまだ、左足には座骨神経痛が残っています。

 

それからというもの、

どうぶつの椎間板ヘルニアの治療、

主にリハビリを勉強しました。

 

 

 

また以前、僕はモーレツな腹痛に襲われたことがあり、

「このまま死んでまうんちゃうか…」と半日トイレで丸くなっていたことがありました。

 

それ以来は「痛み」「生きるためのメンタルを粉々に破壊する」とわかり、

麻薬系の鎮痛剤を使用するための免許を取り、

痛みを取るための方法論を積極的に勉強するようになりました。

 

 

 

今までの経験から言うと、

キツイ言い方かもしれませんが、

どうぶつの感じる「痛み」は、

担当医によってかなり左右されるというのが結論です。

 

 

自分自身の「経験」を生かし、

どうぶつの受ける「痛み」という事象についてしっかり受け止め

話せないどうぶつの代わりに飼い主さんに代弁し、

痛みケアの選択肢をたくさん提案できればいいなと考えています。

 

 

「肝臓」って何するとこ?

みなさんこんにちは。

今年の血液検査の季節もひと段落してきました。

 

さて、今回は「肝臓」についてです。

結構、血液検査でこの数値が引っかかってくるどうぶつが多いんですね。

みなさんは肝臓って何するところか知ってますか?

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肝臓には、主に4つの働きがあります。

  1. 代謝:消化管から吸収された栄養素を加工する。
  2. 貯蔵:グルコースをグリコーゲンに加工してためておく。
  3. 解毒:内因性および外因性の化学物質や毒物を加工して無毒化する。
  4. 胆汁産生:脂肪の吸収や脂溶性物質の排泄に欠かせない胆汁を作る。

 

これらの機能をもつ、肝臓はまさに「化学工場」

生命維持にとって必要不可欠な臓器であることがわかります。

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どうぶつの身体にとって、大事な臓器であればあるほど、代償する機構が働きます。

つまり、多少ダメージを受けても代わりにカバーするチカラがあるのです。

しかし、裏を返せば

悪化に「気づけない」、つまり早期発見が困難だということになります。

だから健康診断って大事なんですね。

 

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、末期近くにならないと症状が出ないため、

これらの症状が出現したらキケンな状態です。

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通常、健康診断で引っかかってくる子は、

公園で変なもの食べたなどの一過性が多いのですが、

中には肝臓病が見つかったりすることもあるので、注意深くモニターする必要があります。

「心臓病」の考え方〜血行動態について〜

 

 

「心臓病」の理解を深めるためには、

「血行動態」を理解することが必要です。

 

 

心臓には、血液を全身に送り出す作用があります。

血液は、全身の細胞にとって大事な酸素や栄養素を含んでおり、

それは全身に張り巡らされた血管を通じて全身の細胞すみずみまで運搬されます。

 

 

『血管』

血液の交通路。

起点を心臓として、上り(動脈)と下り(静脈)があります。

車で遠出をしたときをイメージしてください。

高速道路のような広い道路もあれば、車の入れないような細い路地もあります。

全部、高速道路を使えば早く着きますが、個々の家々までは通っていませんよね。

この場合、

高速道路は太い動静脈

一般道は細い動静脈

細い路地は毛細血管

個々の家々はひとつひとつの細胞ということになります。

血液は、毛細血管内で酸素と栄養素を荷下ろしし、代わりに二酸化炭素と老廃物を受け取ります。

 

 

 

『心臓』

血液のポンプ

ゴムまりのような心臓と、道路のように張り巡らされた全身の血管との関係をイメージします。

ゴムまりは何が問題なのか。

道路のどこに渋滞があり、どのようにオカシクなっているのか。

そして、どうすれば目的地までスムーズにたどり着けるのかを検査によって調べる。

検査でわかれば、後はゴムまりを操り、道路を工事し、交通量を整備してあげる。

 

 

 

結局のところは、

酸素や栄養素をそれぞれの細胞まで運ぶことができれば生きることができます。

現状の血行動態を理解して、お薬の力で操るのが心臓病の治療といえます。

 

 

最近流行りの『腸内細菌叢』とは?

最近よく聞く「腸内細菌叢」という言葉ですが、実際のところどういったものなのでしょうか。

 

これは文字よりイラストのほうが頭に入ってきやすいでしょう。

 

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消化管は最大の免疫器官であり、腸の粘膜細胞とともに、免疫力のおよそ70%を担うのが、「腸内細菌叢」です。つまりはどうぶつの腸内で一定のバランスで共生する善玉菌と悪玉菌、また、どちらでもない日和見菌たちのこと。

みなさんやどうぶつのからだの中には何兆という数の微生物がいて、我々とともに生きています。その様子がまるでお花畑のようなので、「腸内フローラ」と呼ばれたりします。

 

 

 

これらの善玉・悪玉の一定のバランスが崩れることで、下痢などの消化管の問題に限らず、からだ全体の免疫力が弱まり、健康上の様々な問題が現れます。

 

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逆に考えると、この腸内細菌叢を整えることで、病気になりにくいからだを作ることができるということです。

「腸活」ともよばれ、女性たちの間では美容などの目的で最近流行っていますね。

 

 

 

 

どうぶつ医療でもヒトとおおむね同様で、そういった腸内細菌叢を整える目的で投与されるものに、プロバイオティクスプレバイオティクスがあります。

 

 

 

プロバイオティクスは腸内細菌叢のバランスを改善する生きた善玉菌のこと。

 

これに対しプレバイオティクス善玉菌のエサとなるもので、それらふたつを組み合せたものがシンバイオティクスと呼ばれています。

 

 

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これらには「消化・吸収・代謝を助ける」「腸運動の活発化」「悪玉菌の抑制」「便秘・下痢の改善効果」「免疫機能改善による感染防御」「アレルギー抑制効果」「抗腫瘍効果」など、様々な効果が認められています。

 

腸内細菌叢を元気にするという点では、普段の食事だけでなく睡眠、ストレスの回避、適度な運動などの生活習慣も大事ですが、なかなか現代のどうぶつはストレス、運動不足や肥満などをケアすることが現実問題、難しくなっています。

 

そういった意味では、腸内細菌叢を健康なバランスに整えるためにこれらのプロバイオティクスやプレバイオティクス、あるいは両方を摂るシンバイオティクスを活用するというのは健康を保つ上で有効な手段といえます。

 

 

 

ヒトのほうでは、他人の便を移植する治療法も研究されているようです。

 

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いずれはどうぶつ医療でも応用されるようになるのでしょうか。

すごい時代になったものですね。

 

当院の3つの診療方針について

 

 

僕は、何かにつけてエビデンスエビデンス言ってくる、いわゆるエビデンス厨の方が苦手です。

 

エビデンスとは、論文やら研究やらで示される物事の「根拠」のことですね。

教科書というものはエビデンスを基に作られています。

教科書にはエビデンスのない個人的な意見を書いてはいけません。

そういった意味では世界を作る大事なものです。

医学において、10年前のエビデンスは最新の知見とはまったく異なるものになるので、

知らず知らずのうちに間違った医療をしてしまっていることも。

そういうわけで医療従事者は常にエビデンスを確認する姿勢が必要になるわけです。

 

 

 

 

「エビデンス厨が嫌い」発言によって誤解を招きたくないのですが、

当院での3つの診療方針のうちのひとつは

 

①「科学的根拠(エビデンス)に基づいた医療の提供」

 

なので、エビデンスや教科書に基づいた一般的な治療のプロセスが重要じゃないと言っているわけではありません。

むしろそれは超重要だと思っています。

ただ、

医療ってエビデンスが全てじゃないだろってことです。

 

 

 

 

 

これは診療方針のふたつめ

 

②「飼い主さんの価値観に合わせた医療の提供」

 

に繋がってきます。

飼い主さんやどうぶつは十人十色なので、エビデンスだけじゃなくて【理想の医療】ってその人その人で形が違うでしょって話です。

 

 

 

 

この【理想の医療】は飼い主さんそれぞれとよくコミュニケーションをとり模索していくしかないのですが、

これが診療方針の最後のひとつ

 

③「インフォームドコンセント(説明と同意)を徹底する」

 

に繋がります。

きちんとメリットとデメリットを説明し、どれがその子にとっての【理想の医療】なのか一緒に考え、ご納得いただいた上で先に進むということです。

 

 

 

 

 

つまり、診療方針とは、飼い主さんとどうぶつに【理想の医療】を提供するための3つの柱のことなんですね。

 

僕らはプロフェッショナルとして知識と技術を提供しますが、ずっと一緒に暮らしてきた飼い主さんとどうぶつとの家族の絆のど真ん中には割り込めません。

 

その子とずっと暮らしていたのは飼い主さん。

そしてその後も一生涯思い続けるのは飼い主さん。

なので

一般的な理論を踏まえた上で、飼い主さんが理想だと考えた医療が、当院における【理想の医療】なのだと思います。

 

 

 「エビデンスエビデンス言うなし!頭かてーな!」ということですね。

 

 

 

 

 

このことは、新人さんが入ってくるとまずは説明するのですが、

意外と診療方針があることすら知らない人が多いと思うので今回説明してみました。

 

 

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さりげなく 診療方針 ずっとある