ペットの病気・気になる症状

糖尿病ってよく聞くけど、、、

 

 

みなさんこんにちは!

獣医師の中垣です!

 

最近診察をしていて、

太っている猫ちゃんを見かけることがとても多いように感じます。

 

太った猫ちゃんが診察台に乗っている姿は

とても愛くるしく、とてつもなく癒されます。

そのまま家に連れて帰りたいくらいです。

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ただ、私は獣医師です。

そんな気持ちを押さえて、飼い主様に伝えなければならないことがあります。

 

「〇〇ちゃん、かなり太っているのでダイエットしてください」

 

実はこのセリフ、ものすごく言いにくいです。

 

こんなことをいうと失礼に値するんじゃないか、

気を悪くされるんじゃないかと思うからです。

(実際はもっとオブラートにお伝えしています(笑))

 

ただ私たちは、

「肥満」が様々な病気にかかるリスクを上げるということを知っています。

 

心を鬼にして伝える必要があるのです。

 

今回はその肥満がリスクを上げると言われる病気の一つである

「糖尿病」についてについてご紹介したいと思います。

 

【糖尿病ってどんな病気?】

 

まず糖尿病とは

ずっと血糖値が高い状態が続き、おしっこから糖が出てきてしまう病気」です。

 

本来、私たちの体には血糖値を上げたり、

下げたりと調節する機構が備わっています。

 

このとき血糖値を下げる働きをするのが、

膵臓から分泌されるインスリンです。

 

糖尿病は、

このインスリンの分泌機能が失われてしまったり

分泌はしてるけどうまく効かないといった状況になることで発症してしまいます。

 

血糖値をうまく下げることができないので、

ずっと高血糖になってしまうということですね。

 

ただこの説明だけでは、糖尿病がどういう状態か理解しづらいと思います。

 

大事なのはずばり、

インスリンがどのようにして血糖値を下げているのか

ということに着目することです。

 

次の図を見てください。

 

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私たちは、生命活動を維持するために

食事からエネルギーを体に取り入れてますよね。

 

その大事なエネルギーの一つである糖は、

腸から吸収されることにより血液中を流れるようになります。

 

血液中を流れることで、

体の中の組織である筋肉や脂肪、

それらに大事なエネルギー源である糖を届けることができます。

 

ただ、あるものが作用しないと目の前まで届けたのはいいものの

筋肉や脂肪などの一つ一つの細胞の中に入ることができません。

 

そのあるものというのがインスリンです。

 

「インスリン」は、

各細胞の中に血液中に存在する糖を取り込ませる働きがあるのです。

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せっせせっせと血液中の糖を、

細胞に取り込ませることによってエネルギーを供給してあげているということです。

 

そうすることで、

結果的に血液中に存在する糖が減っていき血糖値が下がるというわけです。

 

つまり糖尿病の病態は、「血糖値を下げることができない」というよりかは

インスリンが働かないために糖を利用することができない」という状態なのです。

 

どれだけ食事をとっても、

そこから得られた糖を全然利用できないってことですね。

 

そのために、糖尿病を発症すると最終的にどんどん痩せていってしまいます。

 

そのほかにも様々な悪影響がありますが

長くなりそうなので今回は割愛させていただきます。

 

【どんな症状があるの?】

 

糖尿病になると

以下にあげたような症状が見られることがあります。

 

水を飲む量、回数が多くなる

尿の量が多くなる

たくさんご飯を食べるようになる

どんどん痩せてくる

かかと歩きをする

全身の脱力感がある

 

ちなみに「かかと歩き」とはこんな感じです。

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糖尿病は発症してしまうと、

治療や管理が非常に大変であり

飼い主様の負担もかなり大きくなってしまう病気です。

 

もちろん糖尿病になる原因は肥満だけではありませんが

原因の一つになっている以上、

体重管理には気を付ける必要があります。

 

先に述べた症状に気がついたり

最近太ってきたなあと少しでもお悩みの方は

是非一度ご相談ください。

 

【 ひふ 】 犬はげ ~ カラーダイリューション ~

こんにちは!獣医師の足立です。

梅雨なのに全然雨が降らないですねー。

梅雨のあのしっとり感を感じるのも好きなんですが、、、

このままだと水不足で

野菜の値段が上がっていくのがこわい今日この頃です。

 

 

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今回はわんちゃんの脱毛の病気part2になります。

今日は、ちょっと不思議なはげ方をする

黒色被毛毛包形成異常症

淡色被毛脱毛症

についてお話します。

 

 

 

【 どんな病気? 】

 

黒色被毛毛包形成異常症は、

体の被毛が2色以上あるわんちゃんで

黒色被毛のところだけ禿げてくる病気です。

 

淡色被毛脱毛症は、

カラーダイリューション脱毛症とも呼ばれています。

淡い色(ブルー、フォーン)の被毛部分だけ禿げてくる病気です。

 

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【 原因はなに? 】

 

遺伝性の病気です。

 

この病気になると

被毛内のメラミン色素の

分布が不均一になり

毛が気弱化し

ポキポキ折れてしまい

脱毛が起きます。

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↑ メラミン色素が正常の被毛

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↑ 黒色被毛毛包異常症の子の毛

 

 

 

【 起こりやすい犬種は? 】

 

(黒色被毛毛包形成異常症)

ダックスフンド

ビーグル

ジャック・ラッセル・テリア

ボーダーコリー

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

パピヨン

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(淡色被毛脱毛症)

ドーベルマン・ピンシャー

イタリアン・グレーハウンド

ミニチュア・ピンシャー

ダックスフンド

チワワ

ヨークシャーテリア

ボストン・テリア

シェットランド・シープドッグ

スタンダード・プードル

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【 どんな症状がでるの? 

 

どちらも幼若齢で発症します。

 

 

黒色被毛毛包異形成症は

早ければ生後4週間から、

4か月齢までに発症します。

 

淡色被毛脱毛症は

6ヶ月齢から3歳までに発症します。

 

 

最初は頭、足先、かかと、ひじなど

外的刺激が起きやすい場所から脱毛が始まります。

そして症状は進行していきます

 

 

 

 

【 どうやって診断するの? 】

 

簡易検査では、被毛を顕微鏡で確認し

被毛内の巨大メラミン色素顆粒を確認します。

確定診断は、皮膚病理検査になります。

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【 どうやって治療するの? 】

 

遺伝性の病気のため、

現在のところ有効な治療法はありません

 

毛が簡単に折れてしまう病気なので、

あまり毛に刺激が起きないよう

ケアするようにしましょう。

たとえば、過度なシャンプーやグルーミングなどは

避けた方が良いです。

 

毛がない分皮膚が刺激に弱くなるため

細菌感染を起こしやすく

紫外線に暴露されやすくなります。

定期的なスキンケアを行っていきましょう。

 

 

 

質問、疑問があれば獣医師までお問い合わせください!