みなさんこんにちは!
獣医師の中垣です!!!
近頃はカンカンに晴れてあったかくなったなと思えば
急に土砂降りの雨がこれでもかというくらい降り注ぐ日もあったりと
油断できない日が続きますね。
季節の変わり目なので
体調を崩してしまう方も多いのではないでしょうか。
風邪を引かないためには、
しつこいようですが、サウナに行くことがおすすめです(笑)
僕はもともと体調を崩しやすい方でしたが、
サウナに行き始めてからというもの
一回も風邪を引くことなく過ごせています。
ところで最近は、
コロナウイルス感染拡大の影響で
どの施設でも(飲食店など)
おしゃべりしてはいけないというルールがあると思います。
温泉施設でも黙浴がルールとしてあるのですが
若い人たちはいつも大きな声でおしゃべりしています。
そんな人たちの会話に、
ルールは守って欲しいなあという気持ちは抑えて
こっそりと耳を傾けるのが最近の僕のプチブームです(笑)
その中で最近こんな会話を耳にしました。
「おれさぁ、この間さぁ、胆石詰まって胆嚢取ってん」
僕と同じくらいの年齢の若い方だったので、とても驚きました。
びっくりしすぎて外していたメガネを掛け直したくらいです。
みなさんは胆嚢(たんのう)って何かご存知ですか?
最近うちの病院でも、
胆嚢の病気が原因で危うく命を落としてしまうところだったり
重度の症状を示して体調を崩した子がいたりと
何件か連続で目にしました。
そこで今回は、
犬の胆嚢の病気について
簡単にご紹介させて頂きたいと思います。
胆嚢とは?
胆嚢とは何なのか、
ということを理解する前に
まずは胆汁(たんじゅう)について知って頂く必要があります。
胆汁は、肝臓で作られ
脂肪の分解・吸収を助けてくれる
胆汁酸という成分から主に構成されています。
僕たちが食事を摂ると、
この肝臓で作られた胆汁が腸に降りてきて
脂肪の分解や吸収の手助けをしてくれるといった感じです。
つまりこの胆汁が活躍してくれる時というのは
食事を摂った後だけだということです。
ただ、この胆汁は
肝臓においてコンスタントにずっと合成されています。
ずっと合成されているのに
使うのは限られたタイミングだけ。
なんか胆汁が無駄になってしまっている気がしませんか?
これを解決してくれるのが、胆嚢(たんのう)です。
読んで字の如く、胆汁を溜めておく嚢(ふくろ)ということです。
胆嚢は、肝臓で常に作られている胆汁を溜め込み
しかるべきタイミングで一気に腸に分泌する
そんな働きを持ちます。
ちなみに、
空腹が長く続いて気持ち悪くなり
朝に黄色い液体を吐いてしまうのを
ご経験したことはありませんか?
実はあの黄色い液体が胆汁の正体です。
空腹が続くことで、胆汁が腸から胃に逆流してしまい
その刺激によって吐いてしまうという状態で
これには名前もついています。
「胆汁嘔吐症候群」、そのまんまですね(笑)
どんな病気があるの?
ではこの胆嚢について、
どんな病気があるのでしょうか。
ここでは代表的な3つの病気について
簡単にご紹介したいと思います。
①胆石症
胆汁は基本的に液体ですが
そこに石ができてしまった状態を胆石症と言います。
胆石ができるメカニズムはあまり分かっていませんが
胆石があることでそこに細菌が住みついてしまったり
胆嚢から腸への通り道に詰まってしまうと
胆嚢がパンパンになって破裂したり
急激に症状を示すようになります。
②胆嚢炎
胆嚢炎は腸内細菌が腸から逆行してやってきて
胆嚢の中で増殖することで発症すると言われています。
胆嚢の壁に強い炎症を引き起こすとともに
周りの肝臓などにも炎症が波及してしまいます。
このことにより、突然食欲が無くなったり吐いてしまったり
ひどい場合は黄疸が出てくることもあります。
③胆嚢粘液嚢腫
胆嚢粘液腫とは、本来サラサラの液体であった胆汁が
固形の物質、つまりカチカチになってしまうという病気です。
正常な胆嚢⇩
胆嚢粘液腫⇩
それによって、
本来の胆嚢から腸への胆汁の流れが悪くなったり
胆嚢がパンパンになって挙句の果てに破れてしまう
そんな怖い病気です。
今回は代表的な胆嚢の3つの病気についてご紹介させて頂きました。
胆嚢の病気は、
普段あまり症状を示さないため
健康診断や他の病気の検査で偶然見つかるケースがすごく多いです。
また、症状が出てしまっている場合は
かなり深刻な状態になっていることもあります。
これらを早期に発見するのに一番重要なのは
血液検査を実施するだけではなく
ずばりお腹のエコー(超音波)検査をすることです。
当院では、健康診断のわんにゃんドックで
お腹の超音波検査を含んだコースが存在します。
みなさんのおうちのワンちゃんも
一度健康診断を受けてみてはいかがでしょうか。