みなさんこんにちは!
獣医師の中垣です!
日頃の診察では、
たくさんのワンちゃんやネコちゃんを診ていますが
特に最近は、新しく子犬さんを家族に迎え入れる方が多いような気がします。
そんな子犬さんたちははじめに
ワクチンや健康診断で病院に来られるわけですが
初めての病院にびびってしまい抱っこを求めたり
逆に喜んで僕の顔を舐めまくってくる子がいたりと
毎日癒されています。
そして何より、
幸せそうなご家族の姿や
その子のこれからの犬生を想像すると
素敵だなぁと感じるとともに
めちゃめちゃほっこりします(笑)
そんな新しく迎えられたワンちゃんですが
まず最初にぶち当たる壁は
所構わずおしっこやうんちをしてしまう
つまり、「トイレの失敗」ではないでしょうか。
今回はこのトイレの失敗について
行動学的観点からお話したいと思います。
まずワンちゃんは生後1ヶ月くらいで
自分の休息場所ではトイレを我慢して
そこから離れた場所に排泄場所を探すようになります。
それ以降は自分の好みの材質や場所で排泄するようになり
3ヶ月齢までにはその材質や場所がほとんど決まってくる
と言われています。
つまりトイレの場所を学習するのに
一番適している時期というのはこの3ヶ月の間ということです。
ただこの3ヶ月はほとんどのワンちゃんが
ペットショップなどの施設にいます。
この時期に1ヶ所の場所(ケージの中など)に
閉じ込められていると
排泄のために別の場所へ移動するという選択肢がなくなり
排泄を我慢することをやめ
自分のいる場所で排泄するようになってしまいます。
そのような状態で飼い主さんのもとへ渡ると
ケージの中や部屋のどこでも好きな場所で排泄するようになってしまうのです。
ここがトイレのしつけを難しくしている点だと考えられます。
ただ、もう手遅れじゃないかと諦めてはいけません。
トイレは当たり前ですが一生涯にわたって毎日するものです。
ワンちゃんにも飼い主さんにもより良い生活を送っていただくために
トイレを覚えられるように根気強く頑張ってもらいたいと思います。
そのために、できることをいくつか紹介したいと思います!
①怒らない
みなさんついやってしまいがちな「怒る」ですが
トイレを失敗しても怒ってはいけません。
怒られることで人に対する恐怖心が芽生えてしまうと
ワンちゃんはその恐怖を回避するために
人目の届かない場所でトイレをすることを学習します。
つまり怒ってしまうと
不適切な場所での排泄はますます悪化してしまうということです。
②適切な環境を整える
ワンちゃんは自分の取った行動から2〜3秒以内でないと
その行動と自分の周囲に起きている事柄を関連付けることができません。
そのため排泄の失敗を正そうとするなら
排泄直前か排泄中に対応する必要があるということです。
すぐに見つけてすぐに対応しなければいけないので
かなりのスピードが要求されます。
それを可能にするために
トイレのトレーニングをするなら
まずワンちゃんが自由に動き回れる範囲を制限して
常に監視できるような環境を整えてあげることが重要です。
トイレは休息場所から遠い位置に設置し
ワンちゃんをよく観察して
排泄しそうなタイミングでトイレに誘導しましょう。
このとき、抱っこをして連れて行くのも良いですが
一番は自分で歩いていけるようにするのがベストです。
③すぐ褒める
これは簡単ですよね!
ちゃんと決まった場所でトイレができた時は
たくさん褒めてあげてください。
これもスピード勝負です。
時間が経った後に褒めても、
ワンちゃんは何に対して褒められたのかが理解できません。
④記録をとる
トイレのタイミングがなかなか分からない場合は
ワンちゃんをよく観察して排泄の記録を取っておくこともおすすめです。
起きた後しばらくしたらトイレをするなぁとか
食事の後が多いなぁとかです。
大まかにこれらがわかることで
そのタイミングでトイレに連れて行くと成功率が格段に上がります。
⑤知らんぷり
トイレの失敗ですが、
単に失敗するのではなく
飼い主さんの関心を引くためにわざと失敗していることもあります。
なので失敗を見つけても声を掛けずに知らんぷりをして
ワンちゃんに話しかけることなく黙々と掃除をしてください(笑)
今回は飼い主さんから質問の多い
トイレの失敗についてご紹介させていただきました。
最近はワンちゃんを連れて一緒に楽しめるような
カフェやホテルなどたくさんの施設が増えてきています。
僕も愛犬と旅行に行ったりしますが
しっかりと決まった場所でトイレをしてくれるのですごく安心です。
みなさんが新しく迎え入れた子犬さんたちも
たくさんの楽しい場所に安心して連れいけるように
トイレのトレーニングを頑張ってもらえたらなと思います!