病院ブログ

不妊・去勢手術のメリットとデメリット

みなさんこんにちは。獣医師の長崎です。

 

最近は日差しが暖かくなり、春の訪れを感じますね。

 

さて今回は不妊・去勢手術についてお話させて頂きたいと思います。

 

不妊・去勢手術といえば、望まれない妊娠による、不幸な命を増やさないための手術というイメージがあると思います。

犬や猫の飼い主さんの中には、健康な体にメスを入れることや生殖器をなくすことに抵抗がある方もおられると思います。

人間と同じように考えれば、当然だと思います。

またこれらの手術は全身麻酔下で行うので、命のリスクを伴います。

場合によっては、後遺症や副作用が発生することもあります。

 

しかしそれ以上に、不妊・去勢手術には疾病の予防や、問題行動の抑制、寿命の延長どの大きなメリットがあります。

 

不妊去勢手術は価値観によって賛否両論あると思いますが、

飼主の皆さまにはそのメリットとデメリットをまず知って頂きたいと考えています。

 

 

不妊去勢手術のメリットとデメリットを下の表にまとめました。

不妊・去勢手術

 

メリットはやはり性ホルモンに関連した疾病を予防できることが大きいと思います。

特に雌はそのメリットが大きいです。

 

子宮蓄膿症は発症した場合、死に至る危険があるため、救命を第1に外科手術が適応

になります。しかし発症した場合、麻酔のリスクも高く、手術しても助からない可能性があります。

当院でもよく遭遇する疾患です。

犬猫はヒトと違って閉経が来ないので年齢を重ね、

ホルモンバランスが崩れてくると発症しやすくなると考えられます。

予防することが大切です。

 

 

乳腺腫瘍はその50%が悪性腫瘍のため、これも命に関わる疾患です。

早期に卵巣を摘出すると、乳腺腫瘍の発症率が有意に低くなる報告があります。

もし手術をすると決めたなら、初回の発情の前にすることをオススメします。

 

 

性ホルモンに関連した問題行動の抑制については、効果は一概に言えません。

問題行動は動物が一度学習してしまうと、手術をしても抑制することが難しくなります。

これも効果を期待するなら、学習する前の早期に実施することをオススメします。

 

 

 

デメリットとしては、全身麻酔のリスクが命に関わる為、

気になる方が多いのではないでしょうか。

下の表のように、動物の身体の状態によってその死亡率は異なります。

麻酔リスク

 

 

麻酔のリスクは決して0にはなりません。

しかし術前検査によって動物の身体状態を把握することで、

戦略的に麻酔を選択し、そのリスクを減らすことは可能です。

 

 

飼い主の皆様には是非、これらのメリットとデメリットを知った上で、

それをご自身で天秤にかけて頂きたいと思います。

 

 

わからない点や、もっと詳しく知りたい点があればご相談ください。