病院ブログ

猫エイズって知っていますか?

 

 

この間までの暖かさが嘘だったかのように寒い日々が続きますね。

私は愛猫と一緒にコタツでぬくぬく過ごしております…(´-ω-`)

こんにちは、動物看護師の中山です。

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近年、「保護猫」という言葉を見かけることが多くなってきました。

家族のいない元野良のネコちゃんを、家庭に迎え入れるというのはとても素敵な選択肢だと思います。

ただ、ネコちゃんも人間と同じで「どんな暮らしをしているか」によってかかりやすい病気の種類やリスクも違ってきます。

そこで今回は、野良猫さんに多い代表的な感染症を1つ紹介したいと思います!

 

今回お話するのが「猫免疫不全ウイルス感染症」という病気です。

 

別名「猫エイズ」とも言われるこの病気は、発症すると免疫機能が低下し、些細な病気やケガでも深刻な症状につながってしまい、

進行すると命にかかわる恐ろしい感染症です。

現在、日本の猫の約10%が感染していると言われており、特に外で生活する雄猫に多いと言われています。

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感染経路は?

主に感染猫との喧嘩による、咬み傷から感染します。

出血するくらいの傷が残る喧嘩で感染することがほとんどなので、毛づくろいや食器の共有で感染することはほとんどありません。

その他、交尾や母子感染などがあります。

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代表的な症状は?

日和見感染

免疫力が低下することで、健康体であれば全く問題とならないような腸内細菌や風邪などの些細な菌に体が負けてしまいます。

 

貧血や出血

猫免疫不全ウイルスによって、造血機能を司っている骨髄が破壊され、新たな赤血球を作り出せなくなり、貧血になります。

同様に血小板が作り出せなくなり、出血が止まりにくくなります。

 

腫瘍(がん)

免疫の低下により、体の中で生まれるがん細胞の増殖を抑えられなくなり、がんが発症しやすくなります。

 

 

感染を予防するには?

外に出さない

エイズに感染した野良猫との接触を防ぐため、猫を屋外に出さないことが重要です。

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不妊治療をする

避妊・去勢手術をすることで交尾や喧嘩をすることがなくなり、感染リスクを極端に減らすことができます。

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ワクチンの接種

FIVワクチンを接種することで、猫エイズの感染を約70%防げると言われています。

ただし、体力や免疫力が低下している猫がワクチンを打つと、体調が悪化してしまうこともあるため、

猫の健康状態を考慮する必要があります。

当院でもFIVワクチンを取り扱っておりますので、気になった方はお気軽にご相談ください。

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ここまで、猫エイズの怖さについてお話しましたが

この病気は発症率が低く、ウイルスの潜伏期間が長い病気としてもよく知られています。

そのため、生涯発症することなく、天寿を全うできる猫も珍しくありません

ウイルスを所持しているだけの状態であれば、特に治療する必要もなく、他の健康な猫ちゃんと変わらぬ生活ができます。

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また、感染力が低く人や他の動物にはうつりません

冒頭でお話したように傷が残るくらいの咬み傷から感染することがほとんどなので、

空気感染をすることはありません。

 

ただし、1度発症してしまうと根治する治療法がないのがこの病気の怖いところ。

発症した場合、抗生剤や抗炎症剤を使用した対症療法が主な治療法になります。

清潔で健康的な生活は、発症を遅らせるという報告もあります。

多頭飼いは避け、できるだけストレスの少ない生活をさせてあげることが大切です。

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愛猫が猫エイズに感染しているかどうか、知っているのといないとのでは大違いです。

当院では野良猫さんを家族に迎え入れる際は、猫エイズの検査をされることをオススメしております。

検査について詳しく知りたい方はスタッフまで。

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☆おうちでできる健康チェック☆ ③尿について

☆おうちでできる健康チェック☆ 尿について

 

皆さまこんにちは!

獣医師の鵜飼です。寒い季節になりました。。

もうすぐクリスマスですが今年は出かけられないので、家でおいしいものを食べようと思います。。

 

さて、

寒くなって外来でもストラバイト結石/結晶による膀胱炎の猫さんをみかけるようになってきました。

今回はおうちでできる、尿のチェックポイントについて書こうと思います。

 

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猫も犬も、それぞれにトイレの好みがあります。

外でしかしないわんちゃん、猫砂が汚れているとわざと違うところでする猫ちゃん、いろいろです。

そんななか、健康面で見張っておいておかなければいけないことは、、、

 

1、色!!

2、量!!

3、排尿回数、しぐさ!!

 

の3つです。

ほかにも細菌性膀胱炎の時のにおいや、糖尿病のべたつく尿、結石猫のキラキラ感なども大切ですが、

↑の3つが基本のチェックポイントになります。

 

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1 尿の色

注意しなくてはいけない色は、まずは血尿の赤です。

排尿のさいごの方だけが赤いパターンと、最初から最後まで赤いパターンがあります。

また、尿の中に赤い点々(血餅)が混じることもあります。

これらの場合は、まずは膀胱炎、長く続く場合は前立腺や膀胱のできものからの出血を疑います。

 

血尿よりもっと命にかかわるのが、黄疸尿の濃い黄色~オレンジです。

肝臓や胆のうの病気、また重度の膵炎、血液の病気で現れるのが黄疸です。

血中のビリルビンという黄色の色素が増加して、尿の色が濃いオレンジになります。

 

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こちらは、人間の病院さんのHPの尿色見本の写真をお借りしたのですが(勝手にごめんなさい)

右側3本の色が動物たちで出ていたら異常です。

 

 

2 量について

「尿の量が多くなる+飲む水の量も多くなる」ことを「多飲多尿(たいんたにょう)」と呼びます

一日に飲む水の限度は体重1kgあたり100mlと言われていて

5kgの子がペットボトル1本を飲みきったら明らかな異常です。

ここまではなかなか飲まなくても、前と比べて増えたかどうかで判断していきます。

 

多飲多尿の原因の代表は、腎不全です。

また、糖尿病や、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)が見つかることもあります。

まずは、ご自宅のお水のお皿に1杯で何mlのお水が入るのか確認してみましょう!

去年と比べて、お水のおかわりが増えていませんか??

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3 排尿の様子について

こちらは特に猫ちゃんの膀胱炎で大切なチェックポイントです。

冬は寒くなってお水を飲む量が減る為、尿が濃くなりがち…

下部尿路疾患といって、膀胱炎症状がでてくる猫ちゃんが増えます。

何度もトイレに行く、尿がでないのにトイレポーズをする、排尿痛で鳴く、などです。

膀胱炎による残尿感、頻尿は本人もとてもつらいです…

 

また、

膀胱結石が尿道に詰まった際の、尿閉塞は緊急状態です。

ちょびちょびでも頻尿として尿が出てくれていればまだよいのですが、

トイレポーズをとるのに一切尿が出ていない場合は、急いで動物病院へ行ってください!

尿道が詰まってしまっていると、腎不全を起こし、命にかかわります。

 

 

https://www.royalcanin.co.jp/new/health_nutrition/health/urinary/

こちら、処方食のロイヤルカナンさんの猫下部尿路疾患のページです。

イラストや写真も多くのっているので、猫の飼い主様はぜひご一読を。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

人間も動物も、しっかり水分をとって、寒い冬を乗り切りましょう♬

良いお年をお過ごしください。