私は、開業直前に椎間板ヘルニアで入院してしまいました。
その際の痛みは、想像を絶するものであり、
数センチ動くだけで全身に激痛が走り、
食欲も元気もヘルニアに吸い取られるようでした。
体重は入院中の3日間で4kgも落ちました。
ホームページの「当院について」の私の画像は、
上が発症前、下が発症後です。明らかに痩せています。
(今現在は、戻っています。)
動物は、ヒトに比べ、痛みを表に出しにくいですが、
疾病によっては相応の痛みがあるものと思います。
よくある
「避妊手術後に病院が嫌いになった。」
というオーナー様の発言は、
まさに上記を反映しているものでないでしょうか。
私は、入院中、痛みをどうにかしてくれと担当医に嘆願しました。
動物は、獣医師に同様のことができるでしょうか。
痛みを軽くしてあげると、食欲も出て、疾病の治りも早くなります。
しかし、費用がかさむことや、
適度な痛みは安静化につながり良いなど誤った考えが未だにあり、
なかなかこだわっても評価されにくい点ではあります。
しかし、ヘルニアの件で、「この世の地獄」(おおげさ!)を味わった私は、
少なくとも以下の2点に関してはどの手術においても考えるようにしています。
痛みを感じる前に、痛みの受容体を抑える「先取り鎮痛」
数種類の作用機序の異なる薬剤を用いた「マルチモーダル鎮痛」
動物の気持ちになって考えて、自分の子供を手術するつもりで考える。
症例に合わせた戦略的な痛みのコントロールというのが重要なポイントです。
ただ、頭を悩ませることには、動物用の鎮痛剤は値段が高いということと、
ずぼらな性格の私には、特殊な鎮痛剤は管理が面倒であるということです…。