こんにちは
看護師の長町です。
朝晩めっきり涼しくなりましたね。
当院にも急激な気温の変化で体調を崩したどうぶつが多く来院されます。
皆様も風邪を引かないようにお気をつけてお過ごしください。
今回は、当院でもよく指示されます
【シャンプーの仕方】について
お話させて頂きます。
実は、動物病院には皮膚疾患で受診される患者さんが多くいらっしゃいます。
ある保険会社の疾患統計では第一位が皮膚疾患、第二位が耳の疾患
だそうです。
皮膚疾患の治療の一つに薬用シャンプーを使用する
【シャンプー療法】があります。
薬用シャンプーとは、
通常の毛並みを良くしたりする目的で使用する、
つまりターゲットを「毛」においているシャンプーとは違い、
ターゲットを「皮膚」においているシャンプーのこと。
殺菌効果や、脱脂効果、毛穴の洗浄効果など、
各疾患によって期待する効果はさまざまです。
飲み薬とは違い、副作用がきわめて少ないため、
とても有効な治療法ですが、これも
適切なシャンプー剤を適切な方法で行うことが重要です。
これを機に、
みなさんもぜひシャンプーをマスターしてみてください!
それでは、モデルのそらくんでシャンプーの仕方を説明します。
1 からだ全体をしっかり濡らします。
お湯の温度は30~38℃です。(ぬるま湯です)
毛の表面だけでなく、皮膚までしっかり濡らします。(写真右)
順番は、背中→お腹→足→顔
※シャンプーの成分を皮膚に浸透させるために大事です。
お顔を濡らすのが苦手な子は、
スポンジを使用します。
スポンジにしっかりお湯を含ませて、
頭の上でジューと絞ります。
目の辺り、口の周りなどもスポンジを使用して
しっかり濡らしましょう。
2 シャンプー
シャンプー液はしっかり泡立てます。
泡がすぐに消えてしまわない写真のようなもっちり泡が理想です。
泡を全身になじませます。
地肌をマッサージするように洗います。
洗う順番は1と同じ
背中→お腹→足→顔
☆ポイント☆
皮膚疾患の症状がある場合はその箇所から行いましょう。
泡のついたまま5~10分放置しシャンプーの成分を
しっかり浸透させます。
5~10分かけて洗ってあげても同様の効果が期待できます。
3 すすぎます
30~38℃のぬるま湯で充分にすすぎます。
順番は1.2とは反対です。
顔→背中→お腹→足
シャンプー液が残らないようにしっかりすすぎましょう。
4 乾かします
タオルを使用してしっかり水分を拭き取ります。
タオルで身体をトントンするようにします。
ドライヤーを使用するときは低温で30cm以上離し、
短時間にしましょう。
◎シャンプー療法の頻度と使用期間◎
頻度は1週間に2回を3週間続けます。
皮膚疾患の症状で違いはありますが
犬の表皮のターンオーバー(角化)は3週間です。
きれいな皮膚に生まれ変わるまで3週間かかります。
しっかり続けてつらいかゆみを和らげてあげましょう。
モデルはスタッフの愛犬そらくんでした。(下の写真はカット前です)
そらくん、ありがとう、おつかれさまでした♥
最後に、 よくある質問で、
「人用のシャンプーで洗ってはいけないのか?」
という質問に対しての返答ですが、
「以下の皮膚の違いにより、しないほうが無難です」
◎皮膚の違い◎
・皮膚のpHが違う
人 平均5.5 弱酸性
犬 平均7.5 中性~アルカリ性
・表皮の厚さが違う
犬は人の1/4~1/2で人より薄く、とてもデリケートな構造です。
【犬と人の皮膚の構造】